1737 検察官は独任制として仕事する。特捜部長等でもない,暇な黒川東京高検検事長の定年延長は奇妙(IR汚職追及のため検事総長が定年延長するでもない)

森法務大臣によれば,
高検に複雑で高度な判断を要することがあるので,黒川東京高検検事長を定年延長したと言いますが,そもそも案件なんて東京高検に今現在あります?
高検とは,地方検察庁において捜査ないし起訴したものについて控訴さ時,これにつき,控訴審対応をする部署です。
高検は捜査はしません。
そんな中,東京高裁に,現在何か,ロッキード事件とかリクルート事件とか,ホリエモン事件に相当する大きな事件て係っていましたっけ?

検察官はただでさえ,独任制であり,担当官一人ひとりが権限を持っていて,
上司の部長はともかく,更にその上の検事正(地検)は,ほとんど何もしません。

特捜部があって捜査のある東京地検でもそうであれば,
一地方の高検という,もはや捜査をすることのない組織,つまり控訴審対応のみという部署では,尚更,検事長は何もすることがありません。

こと,控訴審対応の仕事についてみても,実働部隊の独任制検察官と決裁官が居れば足り,検事長はすることはほとんどありません。

黒川東京高検検事長は,実働部隊ではありません。
しかも検事総長のように,全国の検察官を指揮する関係もありません。一地方の高検の控訴対応だけです。

それを具体的に指揮するかというとそれも違うと思います。

そもそも黒川さんは,法務省の事務方ばかりやっていた方で,事件処理は知らないはずです。


【検察庁法は,特殊な特別法】
検事総長以外の検察官は年齢が63年に達した時に退官する旨を規定した検察庁法22条は,
あたかも一般法である国家公務員法に対する特別規定であり,一般法である国家公務員法を排斥することになるようにも見えます。

    検察庁法
    第22条
     検事総長は、年齢が65年に達した時に、その他の検察官は年齢が63年に達した時に退官する。

    第32条の2
     この法律・・・・第22条・・・・の規定は、国家公務員法附則第13条の規定により、検察官の職務と責任の特殊性に基いて、同法(=国家公務員法)の特例を定めたものとする。

    国家公務員法(昭和22年法律第120号)附則附則
    第13条
     一般職に属する職員に関し、その職務と責任の特殊性に基いて、この法律の特例を要する場合においては、別に法律又は人事院規則(・・・・[や]政令)を以て、これを規定することができる。
     但し、その特例は、この法律第1条の精神に反するものであつてはならない。

もっとも,森大臣によれば,
検察庁法22条は,定年の年齢の点のみが国家公務員法の特例となっているだけで,事情による定年延長の規定は特例として検察庁法に規定がない以上,そこに国家公務員法の一般規定を用いることができるとするもののようです。


【特別法と一般法の関係について】
一般法に規定があって,特別法に規定が必ずしもない場合,
①一般法の適用を許す場合と
②一般法の適用を許さない場合
の2つの場合が一応考えられます。

もし①にしたい場合は,大抵このように,規定します。
特別法の中において「この法律に規定がない場合においては,一般法の規定を適用することを妨げない」。
とこのように,特別法に書き込まれるのです。

あるいは,「特別法の性格に反しない限度において,一般法の適用を妨げない」という意味合いで,「一般法の○○条,××条は,特別法にも準用する」とします。

検察庁法32条の2は,②でしょうか?,①でしょうか。

前記森大臣の説明によれば,どうやら①だということのようです。

    ただ,全く前例がないことだというので,仮にこの解釈が正しいとしても,
    最初に申し上げた,少なくとも高検検事長については,適用場面がおよそ考えられないのですから,やはり安倍内閣の運用はおかしいと思います。

    これが例えば,現在ロッキード疑獄やリクルート事件級の事件を捜査している東京地検特捜部の特捜部長が定年延長されるというのであれば,まだ分かります。
    また,検察全体を預かる検事総長が,こうした特大クラスの疑獄案件を対応するべく,定年延長して続行するなら未だ分かる。

    仮にIR汚職が,巨大疑獄事件だとしよう。
    しかし,今の検事総長は,8月までは任期があるし,8月に勇退をさせる必要がないはずだ。

    そのどちらでもない,閑職の高検の検事長を何故定年延長しなければならないの?


【実は,司法の独立に反する】
このような安倍内閣の運用は,検察庁を内閣の指示下に置こうとするのは,司法の独立に反し,三権分立に反すると思います。
検察は,いわば,準司法雇用であり,強く独立性が求められるのです。

これに手を突っ込む違法はゆゆしき事態です。
憲法の精神すら歪めているといえます。


【追補:山尾志桜里議員による質疑】

山尾志桜里議員によれば,
検察庁法22条と32条の2の方が,定年延長を認めた国家公務員法よりも古くから規定されていたこと,
何よりも,同国家公務員法の規定の制定当時の起草者の意思(政府見解)は,検察官を除く趣旨であったとしていると鋭く指摘しています。

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