1532 天下りと再就職(一兵卒になっての社会奉仕)とは全然違う

日本で,官僚の天下りは,幾ら理論的に説明を受けても納得しない方が多いのではないか?

如何に,職業選択の自由,再就職の自由と言っても,です。


【裁判官と検察官には天下りはない】
法律家の世界でも,検察官を定年前に辞めて弁護士になる方,
裁判官の定年前に辞めて,弁護士になる方は居ます。

しかしながら,そうした方は,辞めればただの弁護士,
弁護士会の序列も最下位から始まります。
たとい同期生・同じ研修所のクラスだった友人の弁護士が県弁護士会の会長になっていたとしても,ヤメ判・ヤメ検は一年生弁護士からやりなおさなければなりません。

    なお,定年退職した方で,大庁の地裁所長や高等裁判所長官等に成られた方が,
    名誉職的に,大きな弁護士事務所に行くことはありますが,これは本当にお飾りです。
    弁護士事務所としての箔付けでしかなく,実動部隊では全然ありません。
    だから何もしていません。

    しかも,少なくとも『渡り』などは聞いたことがありません。

    そして裁判所時代どんなに出世した方でも,雇われた事務所の幹部として君臨することもないのです。
    当たり前といえば,当たり前の話です。

何よりも,元検察官・元裁判官だからといって,古巣のお役所が便宜を計ってくれることは一切有りません。
むしろ,裁判所や検察庁の側が,
「元検察官・元判事であれば,我々の組織や仕組み,都合等は当然理解しているでしょ?,我々に迷惑を掛けないでよ」
という感じになります。

元検察官・元判事の弁護士において,仮にメリットがあるとすれば,
検察官やその組織,裁判官の思考経路やその組織等を知っているので,
裁判所や検察庁において普通の弁護士なら騙せる細かい技(裏ワザ等)が通用しない,ということくらいです。
その業界ルールや業界用語を事細かく知っているというだけです。
(芸能界の人が,寿司のことを「シースー」,六本木のことを「ギロッポン」と呼ぶようなことを知っているだけです。)

元は裁判所や検察庁にいたと言っても,人間関係上のメリットといえるメリットというものは全く有りません。

元上司と部下とか,情報の横流し等はあり得ないわけです。
(組織内部に居たわけですので,組織の何処がどうなっているか,どこをどうつついたらよいか等が,別の弁護士によりは,少し分かるかもしれない,という程度です。)

そして,なによりも,お役人としての検察官・裁判官の仕事と弁護士の仕事は全然違いますから,結局一から学ぶ必要があります。

    ヤメ検,ヤメ判は,抽象的には弁護士の日々の活動を遠目に見て知っていたとしても,実際に自分でやってみれば,勝手は全然違います。
    「在職中に弁護士を見ていたときは,さも簡単そうに見えたけど,これほど面倒なことだったのか」と,全員痛感します。

    ラーメン店のフランチャイズの社長が,一店舗で実際にラーメンを作って売ってみると,現場の実際の苦労が分かる,というような話です。


【ご恩報謝,社会奉仕が日本人の姿】
私は,天下りと再就職の違いは,
ご恩報謝・社会奉仕の精神や態度の有無だと思います。

再就職とは,
「以前は,お役所という,完全かつ絶対的に安定した地位で生かして貰った。だからそこで得た知識を,世の中にお返ししよう。」
「お世話になった昔の古巣にもご恩報謝しよう」
ということです。

お役所時代の光も陰も知っているから,退職した後は,陰の部分を補って差し上げようとか。結果としてご迷惑を掛けた部分があるとすれば,それを別の形でお返ししようというものです。

しかし,天下りは違います。
在職中は役人の権限にふんぞり返って,民間を規制したり,意のままに動かしたり,つまりずっと民間に支えて貰っていた人。
そんな方が,天下り後もずっと,役人時代の地位や権勢さながらに,つまりそれを完全に温存するかの形で,天下り先の組織内において,高い地位を確保するのです。


【天下りするなら,本当に現場まで下って欲しい】
例えば,文科省の高官を例に出します。

極端な言い方になるかもしれませんが,
文科官僚が権勢を極めて退職したならば,例えば,
小学校の用務員や,いじめ相談室で勤務してくれたら,
それこそ天下りではなく,ご恩報謝・社会還元だと思います。

お役人時代,学校の尻を叩くだけで,何も心を痛めずに生きてきた。
それを,退職後,反省と共に,ご恩報謝するのです。

これならば,高官の所謂「天下り」でなく,単になる「再就職」です。
あくまで一兵卒として働くけれども,業界に精通しているので,そこそこ役に立つというだけのことです。

    「そんなのあり得ないでしょ」と思うかもしれません。
    しかしながら,例えば,家庭裁判所の調査官という職種は,公務員上級職です。
    高等裁判所所在地の主席調査官は,なんと霞ヶ関の事務次官と同じ給与(月額約140万円)を貰います。

    ところが,この方達は,全然天下りというものは全くないのです。
    従って,もし,「中学校内のいじめ相談室に勤務しないか」と誘われたら,多分半数以上の元調査官は喜んで受けるはずです。

    有り余った優れた知恵と力を,暇で仕方がない退職後に活かせるなら,社会貢献できるなら,こんなによいことはないからです。

これこそが,真の社会還元・ご恩報謝としての再就職です。

天下りとはおよそ全然違います。

    もっと端的にいえば,
    会社を辞めて,別の会社に再就職すれば,その会社の末席として「ぞうきん掛け」から始めなければならないのが普通です。

    どうして,霞ヶ関の行政高級官僚だけは違うのでしょうか。

    天下りではなく,単に再就職にすぎないとしてもなお,ノーブレス・オブリージュくらいは発揮できるのが在職中良い思いをした公務員だと思うのですが・・・・。

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