1492 面会交流が否定される場合(判例タイムズ論文記事から)

私は,家事事件は,裁判所時代から一生懸命に取り組んできた部類で,
面会交流の裁判でも,男性側の申立ても却下したことは何度もあります。

ただ,論文等をみると,むしろ面会交流を本当に大事にする向きが多いのは逆に驚きです。
家を出ていった非監護の親って,そもそもそんなに信じられるものですか?

    なお,私が却下した例の一つは,
    妻が幾ら頼んでも10年以上も結婚してくれず,
    その間に妊娠した3人の子を堕胎させられた。
    ようやく結婚してくれ,子ども一人出産出来たが,父親として全然喜んだりもしない。
    子どもには全く気を掛けない。
    結局離婚したが,寄りを戻したい元夫が,子どもの面会交流を申し立ててきた事案。
    実は,次席調査官という上から二番目の調査官が,
    女性の気持ちをちゃんと聞かずに,過去の経緯も聞かずに「面会させるのが相当」とまったくとんちんかんな意見を出してきた。
    本当にお馬鹿ですねぇ。
    ・・・・こんなのが,もしもうちょっと出世すると,霞ヶ関の事務次官と同じ給与を貰うのかと思うと,そんなばかなことはあるかと思ったほどです。

ところで,親権を得る基準としては,主たる養育者優先の原則が働く,
つまり,どちらの親がしっかり監護してきたか,過去の養育状況をつぶさにみるのですが,
親権の場合と同様,面会交流も,私の持論として,過去の経緯はよく見るべきだと思います。

ところが面会交流の実務は,どちらかというと過去は余り重視せず,むしろ将来のことばかり見る向きが大きく,それだから抽象的で,場当たり的判断,何よりも当事者に不満の残る判断になるのではないか,と私は思っております。
特に調査官の意見がダメ・カス。


【子煩悩の父に,面接交流の紛争は起きない】
離婚や別居前に,子どもを心底可愛がっていた父親の場合に,
面会交渉で紛争になるということは,実は本当に本当に希なことです。
少なくとも数の上では,です。

高裁所在地の家裁本庁では年間6000件もの家事調停が起こされます。
子どもに関係する調停(離婚調停・面会等)がそのうちの何割あるかは,
正直分かりませんが,ただ,夫婦がどんなに仲悪くなって離婚しても,父親が子どもを本当に可愛がっていたときで,母親が面会を否定する例は本当に少ないと思います。

    中には,もちろん居るでしょうが,
    しかしそうした「特に変わった母親」は,
    面会交流の強制執行を受ける最も典型的な例です。
    それは,子どもの利益になる面会交流を,完全に妨害していると言えるので,
    その妨害排除のためには,母親への間接強制(罰金)が必要になるといえるからです。

しかし,子どもとはほとんど接触がなく可愛がったこともなかった父親において
母親が,どうしても嫌だという場合,何か事情があるかもしれないと考えるべきだと,
私は思うのです。

ただ今回,改めて過去の論文を当たってみると,面会交流を余りにも当然の物として捉えている論者が多いな,との印象があります。


【親権係争終了後の面会交流】
面会交流が,夫婦間で問題にならないもう一つの例は,
元々父と母で既に親権争奪戦が繰り広げられた例です。
父親が親権そのものを争う場合,これから自分の手でしっかりと育てていきたいと主張する場合はやはり覚悟が違います。
やはり,その前提として子どもに対する思い入れはもちろんのこと
過去も現にちゃんと子どもを可愛がってきた例が圧倒的に多いはずです。
でないと,もし仮に親権取得を申立てても,一笑に付されるのがオチですので。

この類型も,結局は,過去子どもに直接愛情を注いできた父親なので,親権は取れなくとも,面会交流は,100%以上認められるでしょう。


【少なくとも最近は,濫用事例の方が多いのでは?】
かつて日本人に皆中流意識(共同体意識)があったころ,
会社も従業員を家族のように扱ってきたかつての古き良き日本社会の頃はいざ知らず,
最近の面会交流の申立ては,上記子煩悩の父の例を除いて,
むしろ濫用事例の方が多いのではないか,というのが
実務をそれなりにやってきた私の印象です。

別居までは,子どもをほとんど抱いたこともないような父親,
しかも別居後は,妻の婚姻費用申立てまでは生活費を払わなかったような父親・・・・,
いうまでもなく,婚姻費用は子どものためのお金です。
そんな方が,なぜ突然面会交流を求めるに至ったのでしょうか。
どうした風の吹き回しなのでしょうか?

私には不思議で不思議でなりません。自己矛盾行動だからです。
事実を素直に見れば,父親は何らかの戦略のために,君子豹変して突如,子どもの面会を希望するに至ったとしか見えません。
どうして急変したのか合理的な説明が欲しいです。

    そもそも家を出たのは,女が出来たから,家庭が不要・むしろ邪魔になったからではないのかよっ!
    女に渡すお金が欲しいからこそ,婚姻費用を止めたのではないのかよっ!
    (逆に女もいないのに,家を出たり,まして子どものためのお金を渡さないことにした当時の理由は何なんだよ!調停委員及び裁判官にきちんと説明してみろっ!)

ところが,にもかかわらず,これまでの学説や論文では,
むしろ父親を原則として絶対善?と捉え,
ただごく例外的に,濫用があれば,面会を否定するというスタンスの様なので,私は理解に苦しみます。


【学説・論文による面会否定例】
①判例タイムズ1064号(善元貞彦著述)
ア 面会交流が子の成長に悪影響を及ぼし,子と監護親(ex.母親)との安定した関係を阻害するおそれがある場合
イ 面会交流により,監護親(ex.母)と非監護親(ex.父)の争いが再燃し,子に好ましくない影響が予想される場合
ウ 子が面接交流を望まない場合  →後注)
エ 非監護親(ex.父)が扶養能力があるにもかかわらず,婚姻費用や養育費を支払わない場合
には面会を否定することができる,としています。

②判例タイムズ952号(棚村政行著述)
イ 再婚家庭に溶けこみ,平和な生活を送っている子に対する面会交流が精神的な動揺を与えかねない場合や,家庭生活に波乱を招く危険がある場合
ロ 父母の感情的対立が激しく,子の情緒の安定に悪影響が出る場合,
ハ 面会交流の動機が金銭の要求や相手方への未練など不当な目的に依拠する場合
ニ 過去暴力や虐待などで,子が嫌悪感を抱いている等の場合
には面会が否定されるとあります。

    なお,棚村さんによれば,別居離婚した父親が養育費等を支払っている場合には,面会を促進する理由にはなっても,払っていれば当然に面会が認められるとかの交換条件にはならないとしています。
    この点は大変重要な点かもしれません。
    →後注2)→後注3)

    また,棚村さんは,仮に監護親が面会を認めない態度に出たとしても,だからといってそれで養育費を止める様な真似は,法的に許すべきでないとしています。
    これは,昨今の面会交流の強制執行が養育費の取戻しの様相を呈していることへの警告になると思います。


      後注)
      非監護親の家出や家庭破壊の経緯経過,その間の婚姻費用不払い
      更にはそもそも子どもとの関わりが極めて薄かった場合において,
      普通に考えて,子どもが非監護親に会いたい意思を持つことがどうしてあると言えるのか?

      「よく鏡を見て出直して来い」と言うのが普通なのではないのか?


      後注2)
      夫が面会交流申立てにあたり,「婚姻費用・養育費を払っている」と主張する場合でも,子どもとの関係でみれば,以下のとおり,実に様々なグラデーションがあります。

      ①婚姻費用を一度も欠かさず,かつ基準以上に支払って来た場合
      (子どもの経済生活,ex.塾通い等には影響がない場合)
      ②婚姻費用を欠かしてはいないが,基準ぴったりである時
      (結局,子どもは塾等を辞めざるをえないなど,生活に変化が起こった場合)
      ③別居と共に婚姻費用を止めたが,何度かの要請後,自ら払う様になった場合
      ④別居と共に婚姻費用を止め,かつ妻が婚姻費用の申立てをしたが,すぐさま基準額を支払った場合。
      ⑤別居と共に婚姻費用を止め,かつ妻が婚姻費用の申立てをしたが,四の五の言ってこれを争い,基準額すら争った場合(結局基準額を下回った場合)
      ⑥別居と共に婚姻費用を止め,かつ妻が婚姻費用の申立てをしたが,なんだかんだ半年以上も婚姻費用が払われなかった場合(後に決定が出たためしかたなく,過去分についてはまとめて婚姻費用を払って一応の帳尻を合わせたにすぎない場合)
      ・・・・ざっと,婚姻費用等の支払い方や対応・態度振る舞いをみても,こんなにバラエティーがあります。

      なお,ここで注意して欲しいのは,婚姻費用とは,家庭内紛争の序盤戦の問題であり,所謂兵糧攻め,経済力によって物を言わせることを防ぐことに主眼があります。
      つまり家庭内紛争の激化を防き,家庭平和を乱すことを防ぐために存在します。

      そうした中,君子豹変して突然子どもに会いたいと言い出した父親において,①や精々でも②の対応すらできなかった父親が,後に婚姻費用を最後は払うようになったからといって,子どもにとってどれほどの積極的な意味があるというのでしょうか。
      その間に散々家庭をひっかき回しておいてです。

      むしろ兵糧攻めを仕掛けたが,あえなく後に裁判所によって否定されただけのことではないのでしょうか。

      こんな常識すら分からない調査官って,やっぱり阿呆なのでは?
      (調査官は,夫婦で調査官をしていることが多く,恵まれていると言われる普通の公務員よりも遙かに高給取り×2なので,仮に半年でも婚姻費用を止められるということが一体子どもの生活にどんな意味を持っているかが,分からないのではないか)


      後注3)
      なお,親権争奪の事例では,お金よりも「こころの絆」を重視します。
      お金なんてものは,子どもの幸せのためには,ある方が出せばよいだけであって,
      子どもの親権は,まさに愛情こそが命です。
      お金があるから,経済面で分よい思いをさせて上げられるから,親権を取れるのではないのです。

      しかし,面会交流となると,裁判所に命令されてようやく渋々婚姻費用や養育費を払う様になったにすぎないにもかかわらず,
      払わされると,ムキになって
      「オレは,婚姻費用を払っているんだ。だから会えるはずだ」と途端に言い始める父親はいかがなものか?

      しかもこんな理屈が通ると考える裁判所調査官は,精神分裂病なのかとすら思います。

        参考:おばか調査官に見せたい武田邦彦のブログ

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