1485 家庭裁判所調査官に関する苦情の申立先

法律相談等を受ける度に知らされるのですが,
家事調停に立ち会っていた調査官って,すこぶる評判が悪いですよね。

怒り心頭の相談者さんによく出くわします。
最初は調停委員の不満かなと聞いていると,どうやら家事調停に立ち会っていた調査官の問題であることが知れます。

家事調停自体はやたら数が多いので,その全体数の中で苦情の一つや二つを聞いたとしても,それは誤差の範囲かと思いますが,元々調査官が家事調停に立ち会う事件数が少ないのに苦情が連発するのはやはり問題です。


【調査官に対する苦情の宛先】
調査官は特殊の階級なので,裁判官の上下の系統とも,書記官等の一般職員の上下の系統とも違う系統です。

ですので,家庭裁判所の所長(裁判官)が苦情の窓口ではありません。
家庭裁判所本庁の(首席調査官・)次席調査官宛となります。
もっと上はというと,いきなり最高裁家庭局まで飛びます。
(調査官の人事は最高裁家庭局の直轄人事です。)

なお,苦情申立ての方法は,口頭ではなく,書面できっちりと行って下さい。

    因みに,調停委員や書記官等に関する苦情は,
    家庭裁判所支部ならば総務課(調停協会),
    家庭裁判所本庁であれば,次席書記官(事務方)です。

    裁判官の場合は,家庭裁判所の所長宛でもよいかもしれませんが,裁判官の裁判は不服申し立てができる(三審制の保障)がありますから,それでできるならそれを活用した方がよいかもしれません。
    もし,それでは間に合わないという場合でも,まずはその担当裁判官宛に丁寧に手紙を書いた方がよいです。裁判官は基本的には真面目で,腐っても鯛,つまり普通の公務員よりははるかに誠意を残しているので,少なくとも理不尽な扱いは受けないはずです。


【調停の意義と調査官の異質性】
家事調停は,家事紛争という近い間柄の紛争を扱うため,
法律はもちろん,常識・良識その他様々な考え方を総動員して極力円満かつ柔軟に解決できるように,運用するものです。
既に終わった事件の敗戦処理ではなく,家庭を舞台にした現在進行形・未来進行形の事件を扱うものであるため,法律による一刀両断の処理は好ましくないとして,柔軟な話し合いの場を設けた。それが家事調停です。
別名,これを家事の創造的機能と言います。柔軟にして創造的解決を模索すべき場合も多い場面なのです。

しかし,調査官は,実は,この調停の趣旨とは全く異質の存在です。


【なぜ,苦情が相次ぐか】
なぜ調査官に苦情が頻発するか。

構造的に説明します。

調査官は,専門家です。一定の狭い領域(専門分野)にピンポイントで働く薬のような役割です。
そして,調停に立ち会う時は,手続上裁判官から特定の事項について調査命令を貰う形で,調停に忍び込みます。
「特定の事項について」とか「専門分野」が,キーポイントです。

これは,先に述べた調停の柔軟性や創造性の発揮とは実は矛盾し,これに大いに水を差す要因になります。
よほど気をつけてくれる調査官は別ですが。

彼らの受けた調査命令は,調停全般ではないのです。
その極々一部でしかないのです。
それなら調停中黙ってメモだけ取っていればよいのに,
むしろ調停のテーブルにさえ着かずに,離れてひっそり座っていればよいのに。
専門家のプライドとか,格上の存在であるとの自負から,
あろうことか,調停手続を事実上支配します。

調停の全般や流れを理解する気も無く,自分の受けた調査命令の範囲内でしか関心がないにもかかわらず,調停を差配するのです。

そこに間違いが発生し,苦情が生まれるのです。

調停は調停なんだから,調停委員が全部を差配する。
じっくり話を聞き,当事者相互に,自らを介して意見交換を活発にさせるよう機能させている。

ところが調査官が参加するばっかりに,その固有の狭い問題(調査命令事項)についての利害ばかりが結局優先されるのです。

その調査命令事項が優先的でかつ事案全体の最も本質中の本質に根ざすかというと,全然そうなことはありません。


【調査官の問題点その2。せかされる】
そればかりではありません。
仮に通常は発令されない,調停全般をカバーする調査命令が出ていたとしても,以下の問題点があります。

調査官が専門家という意味は,
結局,その高い専門性で高い給与を貰っており,
(高裁のある家庭裁判所の首席は,霞が関官僚トップの事務次官と同じ給与)
しかも高い給与ということは,多くの仕事を忙しくこなす必要があります。

ところが調停は時間がかかります。1回の期日で三時間くらいはざらです。
また期日を重ねてさらに時間を掛けないとできないことが多くあります。

然るに調査官の時間感覚は違います。
多忙な中,毎回毎回時間を掛けて,調整活動をするような余裕はありません。

彼らの任務は調査です。調整は関心ありません。
(実は,それをすることは,規則上全く構わないのですが)。

仮に万一広い調査命令が出ていてもなお,関心事はただその専門分野のみです。
結局,自分が調査したい事項の聴き取りが終われば,調停は用無しになります。

ただ,調査官の利害や仕事の都合で,調停の命運が決せられるいわれは全然ありません。

それでは当事者が困ることがあるのは言うまでもないでしょう。

当事者は調停による円満解決を申し立てているのです。
原則として調査を申し立てませんし,調査官の職務上の利害は全くどうでも良いことです。
なるほど裁判官から調査命令は貰っているかもしれませんが,それは調査官から要求されるので,命令を出しているのです。
しかもそうした調査命令(中身)は,記録の閲覧謄写でもしないかぎり,当事者は知りません。教えてもくれません。
なのに,当然のような顔して,偉そうにでんと座っているので,初めて調査命令が出ていることが分かるのです。それでも中身は分かりません。

→後注)

いずれにせよ,その調査命令は,本当の意味で調停手続全般ではないのですから(最後まで責任を持って付き合うのではないのですから),はっきり言って邪魔です。
本来調停の居候にすぎないのですから,偉そうにしゃしゃり出て欲しくないです。
→後注2)


    後注)
    中には,調停期日の数回目に,調査官が初めて立ち会う期日において,
    本来なら,途中から遅れて参加してきたのですから,最初から期日に出頭している当事者には「本日の期日から立ち会わさせていただく調査官の〇〇です。宜しくお願いします。」と言うべきです。にもかかわらず,自分が調査官であると自己紹介せずに,ふんぞり返って待っていることがあります。
    (立つこともせず,また座りながら会釈することすらももしないで,お腹を突き出している。)

    私は,ベテランですから,「貴方は調査官ですか?」と聞けますが,
    素人さんの当事者は誰だか,なぜ突然立ち会うようになったのかも全然分からないと思います。現に分からない人ばかりです。

    遅れて参加しておいて,しかもその初顔合わせの時に自己紹介すらもないのは,いくら何でも拙いんじゃないでしょうか?


    後注2)
    調査命令は,本文で述べたとおり,当然には教えてくれないまでも,記録の閲覧申請をすると,見ることは出来ます。
    記録の表紙の表か裏,もしくは表紙をめくって1枚目とか2枚目とか,とにかく記録の最初の方にあります。

    大事なことは,その調査命令が,自身の申立て等した調停事件に出されているのか,別の案件について出されたのかを見極めることです。
    自分が強く求めている裁判とは別の裁判につき調査命令があるとき,調査官はかなり邪魔です。

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