1413 憲法にはない「閣議決定」(内閣法),公約やマニュフェストとイコールではない。

私ら弁護士は,難解な憲法の教科書を20回くらいは精読して
ようやく合格したという人間です。

でも,憲法の中に内閣の「閣議決定」という文字はない。
あるのは,内閣の予算や法案提出権や「法令を誠実に執行すること」くらい。
だから,閣議決定は,憲法の議論ではない。

閣議決定については,内閣法に規定されています。

    第6条 内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する。

      この立法趣旨を強いて説明すれば,「自己拘束力」です。
      内閣が閣議決定として文章化して公開した以上,その決定に自ら縛られるのは当然という法理です。
      裁判官について,この法理があります。

      しかし,国政全般や全国民のために動く内閣が,裁判所と同じでよいかは疑問です。


【内閣法には選挙公約やマニュフェストは出てこない】
内閣法の法文を読んでいて,疑問に思ったのは
選挙で勝って内閣を組閣しているにもかかわらず,
選挙公約もマニュフェストの文字も,内閣法にはなく,
あるのは,閣議決定のみといったことです。

つまり,いくら選挙公約をぶち上げて,それが評価されて選挙で勝っても
閣議決定の中に盛り込まれないかぎり,どうしようもないことになります。
→後注)


【閣議決定は,省庁の官僚が下書きする】
ここでピーンときて貰いたいのですが,
閣議決定は,誰が起草するのか,もっと言うと下書きは誰がするのか
です。

もちろん,各省庁,特に財務省のお役人達です。

するとどうなるかはもうお分かりですね。


【公約等が閣議決定に盛り込まれないと】
閣議決定には,省庁のお役人が書いたものが盛り込まれ,
折角の公約が一言も盛り込まれなかったら,
もっといえば,公約とは結局矛盾する閣議決定が盛り込まれてしまったら
その政権はどうなるでしょうか。

公約が閣議決定に落とし込まれていない以上,公約を実現することはありませんよね。

    もし,〇〇ノミクス,第×本の柱
    みたいな公約があって,全国で大いに期待された。
    それで政権を奪還して内閣を作ったとする。

    しかし,第×本の柱と矛盾抵触する別の政策課題が閣議決定に盛り込まれ
    当の公約は結局盛り込まれなかったとします。

    すると,第×本の柱は実現されないということです。

お役人は狡いですね。っていうか,政治家が馬鹿なのか
→後注2)


    後注)
    憲法の条文には閣議決定はないと言いましたが
    もし内閣法でも規定がなかったなら,
    何であれ政策課題を,一々閣議決定に盛り込まなくてもよいことになるので
    その方が内閣はむしろ自由に公約やマニュフェストを追及できるかもしれません。

    法理論的には,下位の法律が憲法にむしろ優越するかの現象
    下位の法規範が上位の法規範を上書きするかの振る舞いのこと)
    がここでは起こっているといえるかもしれません。

    これを法実証主義と言います。
    要は,書いてしまえば勝ち,
    ・・・・今では大いに問題視されている手法です。


    後注2)
    お役人の力が強すぎる日本の場合,残念なことですが,
    逆に内閣の方がむしろ,どうしたらお役人の要求する閣議決定に紛れて
    公約等を密かに実現する閣議決定を差し込むかが勝負になっているのではないか。

    先日,安倍内閣で,
    「日本の自殺率を30%引き下げる」閣議決定がされました。
    これは,まさにお役人の要求する施策を閣議決定に書かされる中,
    少しでもそれに風穴を開けるために差し込んだ,苦肉の策の項目だと思われます。
    ・・・・自殺の主要な原因の1つは経済問題を苦にして,ですので
      お役人に書かされた閣議決定があってもなお,
      財政出動等,経済を活性化する施策をし易くなるわけです。

    しかし,政府とお役人,どちらが上なのか,改めて考えてみたいものですね。

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