1352 離婚調停と離婚訴訟,料金は前者の方が高い?

離婚の場合,離婚調停,離婚訴訟と二段階で進むこともそこそこ多いかと思います。
(調停のみで全部合意できれば,それが最終解決であり,離婚訴訟には至りません。)

離婚は調停前置主義なので,離婚訴訟での決着の場合でも,予め離婚調停を経なければならないのです。

私が弁護士になって報酬基準の参考にしようと,知り合いの弁護士のHPを比較検討してみたところ,驚いたのは,離婚調停の単体の報酬の方が,離婚訴訟の単体の報酬よりも高いことでした。

離婚調停というは,基本的に本人が出頭するわけですし,
しかも調停は,場合によっては,たった一回で不成立もないではない。
にもかかわらず,なぜ報酬基準が一般に高いのか。

一つには,調停は,弁護士の調停での拘束時間の長さが上げられると思います。
私は,最初は,これが理由かなと思っていました。

しかし実はそうではないと思います。


【離婚調停の大変さ】
離婚調停と離婚訴訟との違いは,
後者は,良いか悪いかは別として,もう最終決着の場面です。
がっぷり四つに組んでバトルする場面なので,また裁判官主導なので,
要件や争点が明確であり,大変な人生問題を扱うとしても,
弁護士の業務としては,主張と立証をひたすら繰り返すのみとなる。

これも良いか悪いかは別として,
白か黒かをはっきりさせる法律家のやり方を結局はすることになるとすると,
そこまで料金を上げる必要はないのかもしれない。

これに対し,調停は,
①実はがっぷり四つに組んでいない。そもそも事件そのものが流動的である。
②公開法廷ではないので,相手方が調停で何を話しているのかがまるで分からない。
③相手の主張や証拠が見れるかどうかも分からない。

④調停委員は,法律の専門家ではないので,法律家の予測に合致するとは限らない。
⑤まだ事件としては序盤戦であるため,依頼者や相手方の意見も常に流動的である。
⑥ ①~⑤のため,調停委員から何を聞かれるかも予想しにくい。
⑦ ①~⑥のため,いつ調停が終結等になるか予想がつきづらい。しかもいつ潮目が変わるかも予測が困難である。
⑧ その他訴訟とは違う面も少なくない。
⑨ ここでは言いにくいことですが,実は他にもまだあります
(相手の問題についてのことです。)。

少なくとも①~⑦だけからしても,
調停は,きちんと事前準備,時間を取って打ち合わせをしてもなお,
待合室に待っている最中にも,大変ハラハラドキドキしているということになります。

新しい展開が始まった時には,すぐさまその場で切り返し・反転攻勢をかけなければならないのです。

だから調停の方が値段が高いと思って下さい。
→後注)

    言ってみれば,弁護士に精神や身体にかかる負荷の大きさに基づくと思っていただいても構いません。
    胃や肝臓への負担は意外に大きなものがあります。

    正義が通れば良いですが,依頼者が理不尽な仕打ちを受けていれば受けているほど,可哀想であればあるほど,逆にふざけた,狡猾で不誠実な相手方のことに憤ったりすればするほど,忽ち身体に来てしまうのです。


【1回で調停が不調になったときは】
もちろん,調停が,合理的な予測に反して,1回で終了したような時,
依頼者からは,「高い」と思われるかもしれませんね。

でも,次に離婚訴訟が控えている時には,そちらの費用の減額を求めたら良いかと思います。

法テラスでは,そうした調整はないでしょうが,
任意の契約であれば,そうした調整は可能かと思いますので,依頼者さんは,その辺りは思い切って,それを言われたらよいかと思います。


    後注)
    最近になって,他の家事専門の女性弁護士等のHPを見ると
    顧問料のような,月額○○円を支払うというのがあるようです。
    (手数料の分割払ではなく)

    家事事件は,離婚調停・訴訟のほか,様々な事件が複層的に絡むこともままありますし,良い女性弁護士であれば,常に相談に載って戴きたいという場合もあるのかもしれません。

    それで顧問的な料金が流行り出したのかな?と思います。

    私はそうした契約をしたことはありませんが,
    ただ,法テラスの低料金でやってくれと言われても到底出来ないような重い事件,複雑な事件はあります。
    これでは事務所が倒れちゃうのではないかという法テラス案件は,実は家事事件の場合にむしろ多いという印象です。

    ですので,少なくとも紛争が続く一定期間に限り顧問料の形で定額を貰うという契約が出来ても,私は別におかしくはないと思います。

    これとても,良い先生に出会えたのであれば,
    そして毎月夫から定期的に婚姻費用が払われるのであれば(例えば婚姻費用月15万円以上で自身がパートで働ける場合,しかも家賃支払いなし),
    いつも寄り添って一緒に戦ってくれる,そんな尊い先生に支払をするという内容の契約がおかしいとかは,必ずしもならないとおもいます。
    それが正しいのではなく,そのような契約オプションがあったとしても不思議ではないという意味です。
    またこの意味で,何でも法テラス料金を基本にするべきだとの考えも反対です。
    現に,法テラス設置と同時期に,弁護士報酬契約は自由になりました。

    いずれにせよ,弁護士とて生身の人間です。
    病気等で倒れてしまったら,法テラスも,依頼者も,そして事務所も,事務員もありません。

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