1174 最高裁家庭局よ,婚姻費用の家庭保護機能を忘れるな!

婚姻費用裁判の本質について,養育費と比較すると分かるのですが,
養育費は,夫婦の合意により,正式に離婚した場合の話です。
子どもにとっては悲劇ですが,しかしこれも親同士がしっかりと話しあった結果です。
様々な話し合いで,決着すべきは決着した上での離婚です。

婚姻費用は,未だ離婚もしていない,つまりは夫婦や家族の様々な問題が未解決のまま,
例えば夫の不倫等による突然の家出等によって,子ども達は,突然谷底に突き落とされ,
しかも夫婦がこうして現在進行形でもめる間に板挟みに遭い,
筆舌に尽くせぬ苦しみを味わうのです。


【養育費は実は急がない例も】
離婚後の養育費であれば,子どもには必要でも,
親の支援等何らかの手当をした上での離婚であるとしたら,
そこまでの時間的切迫感はないかもしれません。
そもそも関連する紛争はほとんど法的には解決済みです。

    ですから離婚された奧さんの中には,4,5年も養育費の現実の獲得作業をしないまま,過ごしていたりすることがあります。
    まるで貯まりに貯まった積立定額貯金を取り崩すかのように,突然強い行動に出てきます。
    ・・・・それまで何故申立てがなかったんでしょう。

ところが,婚姻費用,中でも夫の不貞等による突然の家出等の場合は,
生活設計が突然かつ完全に狂ってしまうため,突発的な家庭混乱要因です。
やはり待ったなしが原則のはずです。


【裁判所は,紛争予防機能を持たせられない】
婚姻費用の場合,実は,何よりも,家庭をこれ以上壊さないためにも早急な手当が必要です。

ところが,裁判所はその機能は持っていません。
裁判所の受働性と言いますか,紛争が現実化し,しかも明白な証拠を持って申立てをしてこないことには,全く動けない。
婚姻費用の事情として,夫の家庭破壊の問題点を書き込んでも,明白な申立てがないかぎり動けないし,動くつもりがさらさら無い。

黙って,家庭崩壊を是とするかにも見えてしまう。

    実は,法律家は,既に壊れてしまったものを清算する方が楽なんです。
    壊れかかったものを保存維持するのは実は大変な労力です。

    だから,裁判所の人間においても,夫婦がやたらとガタガタもめるくらいであれば,さっさと離婚しちゃえばよいのに,くらいに思っている節もないではない。


【裁判所は時間感覚がない】
裁判所は,婚姻費用について時間の感覚が欠落しています。

例えば,先の急ぎの婚姻費用申立ての例でも,裁判所は最終決着までに1年かかっても平気。半年以上だって結構ある。
何のための婚姻費用算定基準なのか,わけ分からない。
最後は結局算定基準によって決めるだけなのに,
ほとんどの場合算定一覧表を見るだけなのに何故半年,1年もかかるのか?

その間に,不貞をして別れたい夫が何をしかけてくるか!

裁判所は,仮に審理に1年かかっても
申立時からの婚姻費用を認めるので,審理期間中の1年分の婚姻費用全額をも払えとの決定を出せる。
例えば,月6万円の婚姻費用の結論であれば,審理期間中の過去1年の婚姻費用72万円を決定書の中に挿入する。
だから,幾ら時間がかかってもよい。できればゆっくり審理したい,となる。
(裁判所は労組が強いことで有名)

婚姻費用は,突然の生活変化ですので,毎月欲しい生活費ですし,
前記のとおり,紛争予防機能としても早く処理して欲しいのです。

酷い例では,不倫をして出て行った,婚姻費用を払わない夫のために
子どもの面会ばかりを審理する裁判所もある。
夫は自分から家を出て行ったのであって,
子どもに会いたければ(未だ婚姻中ですので)ただ帰ってくればよいだけなのに,
しかも婚姻費用も支払わない中,何故裁判所は婚姻費用よりも面会を先にするか。
アタマおかしいのか?と思います。

しかも専門家と言われる高い月収(生涯賃金5億とも)の調査官がこの態度です。
失職が相当かと私は思います。

    この点でも,婚姻費用は養育費とは違うのです。
    養育費は離婚後ですので,養育費と面会交流は,事実上の交換条件に近い運用になることはままあります(ただし,理論上の交換条件ではありませんが。)

    元夫としては,もう家に帰ることもできない,子どもに自由には会えないのですから,
    「養育費をきちんと払うから,子どもに会わせてくれ」という主張は心情的には理解できます。

    また当の子ども達のためにも,こうした方便を利用して嫌がる母親を説得するのです。


【夫が勝手に出て行った場合,妻の両親の経済力って,そもそも関係ある?】
また,以上に関連して,
裁判所は,養育費ならぬ婚姻費用について,
しかも夫が不貞で勝手に出て行ったような場合にも,「ご両親がいるだろ」
と言って,だらだら審理したりする向きがあるようです。

しかし妻のご両親は,少なくともこの場合は関係ないと思います。
いつもは,法律上度外視するのがご両親(祖父母)です。
例えばご両親は,孫の親権者等にはなれません
(どんなに必要と思われる切迫した事案でも,です。)。
この時ばかり,何故利用するのか不思議です。

仮に百歩譲って経済的にはご両親が支援できる例だったとしましょう。
しかし,婚姻破壊を防ぐという重要性はやはり残っています。
このことを無視して,裁判所がこのような対応をするのは困りものです。

繰り返しますが,今やどうせ婚姻費用の算定基準によって結論を出すしかないのです。
養育費ならぬ婚姻費用の裁判について,しかも夫が不貞をして勝手に出て行った場合について,
だらだら時間を掛けて裁判する理由がありません。
→後注)


【最高裁家庭局は,婚姻費用と養育費の差異に着目した運用を】
最高裁家庭局は,婚姻費用と養育費の差異に着目した運用をきちんと指導して欲しいと思います。

全国の家庭裁判所裁判官の上の存在として,
特権階級として威張り散らしているだけではだめだと思います。


    後注)
    裁判所は,こういう場合,必ず言うのが,
    「調停軽視はいけない。
    婚姻費用も,やはり調停手続をまず必ず通すのが,家事事件処理の王道・定石である」と。

    しかし,婚姻費用は,既に問題点の多くが解決済みの養育費とは違って,
    婚姻における紛争の本体を未解決のまま持っていることが多いのです。

    しかも,婚姻費用は,本体たる紛争の前哨戦になります。

    裁判所が本体たる主要な紛争を調停でじっくりやるのは分かります。
    しかしその前哨戦を調停に無理矢理持ち込むことは危険です。

    本体と一緒くたにすることも大きな問題を発生させることがあります。

    紛争の本体の前哨戦であって,しかもシンプルに形式的に審査・決着のできる婚姻費用は早めに処理して本体と切り離しておくのが正しいはずです。

    民事事件では当然のことですが,
    紛争は一見関連していれば,何でも併合すれば良いのではなく,
    むしろ戦略的に切り離して審理すべき場合もままあるのです。
    婚姻費用の裁判も同じです。

    婚姻費用は,本体と切り離して先行審理す必要がある場合が多く存在します。

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