1148 「非暴力が当然なんだからDV禁止命令はOK」<「婚姻費用は払うに決まっている以上直ちに発令」

夫婦間暴力を禁止するDV防止法,平成12年ころに議員立法でできた法律ですが,
なかなかどうして,夫が暴力を振るって怪我をする妻は後を絶ちませんでした。

良識ある国民であれば「妻をひっぱたことは一度も無い」
という方は,実は多数派ではないかと思いますが,
裁判所からすると,「また事件が来たか」という感じで,安定営業という感じでした。

    しかも男性のおばかなことに
    「口答えするから殴った」と認めるんですね。

    「言い合いになったら手を出していい」なんて,どこの世界だよと言いたくなります。
    学校でも仕事場でも,取引先相手でも,人を殴ったら逮捕されるのは常識。
    妻なら,どうして言われただけで殴って良いのさ?

    理解のできない世界が展開しておりますが,
    男性陣は,100人中98,9人が同じ言い訳するのです。


【「暴力しないのが普通なんだから発令はOK」】
これは,裁判所時代でも私が思ったことは一度もないのですが,
多くの同業者(だった)裁判官が同じ事を言いました。
「暴力を振るわないのが当たり前なんだからDV禁止命令を出しても問題ない」と。

例外はあるにせよ,多くの案件は,暴力を予防するだけのことだから,
むしろ積極的に出しても構わないということを口に出して言われるのです。

そう言われた判事でも,実際の案件では極めて慎重に仕事をしている方が多いので,
口だけ番長かもしれません。

ただ,そう思いたくなるという気持ちは分かります。


【婚姻費用は,払うのが当然なんだからさっさと判断しろ】
DV案件は,実は,証拠やら陳述書も必要だし,
双方から過去の経緯を全部聞かなければならないので,
夫婦の生々しい問題点が手に取る様には分からないことも多いです。

だから,先の発言は,もし本当にそんな気構えで仕事しているなら,
問題発言と言われる向きもあるかもしれません。

しかしながら,これに対し,婚姻費用はどうでしょう。
結論を先に言うと,算定基準及び算定表ができた今では,ほとんどの事例では,支給金額は形式的に決まるため,さっさと発令しない理由がないのです。

ここで,婚姻費用をいただく方法は
①調停を申し立てる方法
②審判を申し立てる方法(ただし,③とは異なり,これのみでは先に調停に廻されてしいます。)
③審判前の保全処分(仮払い)を求める方法(同時に審判申立ても必要です。)
の3つがあります。

早く決着する順番は,③→②→①です。

以下,最も典型的な,サラリーマンの夫と,専業主婦の妻,再婚もなく,子どもは両者の間の2,3人のみという例で述べます。

    典型例でいうと,調停が最も遅くて困りものです。
    しかも,調停では,どんなたわごとでも意見を聴きすぎるので
    問題のある夫の場合は,本当に困りものです。
    彼は,不貞相手にお金をパスしたい等の理由で妻には払いたくないので,難癖を付けてくるのです。
    結局払わなきゃいけないことは分かっているとしても,少しでも支払を遅らせて,その間に別れるための取引材料に使いたいという気持ちに駆られます。
    こうして調停で婚姻費用を求めると,妨害も含め,やたらと時間が掛かってしまいます。

    しかも問題なのは,裁判所が「最終的に申し立て以降の婚姻費用を決定時にまとめて払わせる結果を取る以上,調停に幾ら期間が掛かっても良い」(申立人が受け取れる額面金額は裁判所的には結局同じ)という,常識とかけ離れた発想を持っしまうことです。
    →後注)

    確かに,調停は柔軟性があります。
    しかし妻が元々多くを望まず,ただただ算定表程度の金額を毎月安定して支払って貰えればよいのなら,中身で①から③を区別する理由はありません。
    であれば一番早く結論の出る③が妻子には最もメリットがあります。

    っていうか,①の調停でやる場合でも,夫婦の意見に違いがあれば,
    結局算定基準表に頼らざるを得ないのですから,最終決着までに時間が掛けられるのは無駄そのものです。

実は,どうせ払わなきゃいけないのが婚姻費用です。
仮に妻が自らの勝手な都合で家を出ていった場合でも,結局は払わなければなりません。
この問題事例はともかくとしても,
夫が女を作って出て行った場合は,請求に躊躇は要りません。
前者でも請求そのものはできるのですから,尚更のことです。


【結論】
前半の「暴力しないのが当然なんだからDV禁止命令はOK」という言葉以上に,
「婚姻費用は払うに決まっているんだから直ちに発令でOK」です。

特に,夫に不審な点や,家庭の破壊工作等の危険が窺われる場合には,
婚姻費用が人質に取られますので,早急に仮払いの申立てをするべきです。


    後注)
    女を作って勝手に出て行った夫,
    少なくとも家族に対する責任を放棄して出て行った夫,

    これに対して婚姻費用を請求したのに,運悪く調停に廻されると,
    相手方の愚にも付かない要求等に付き合わされ,後から取って付けた逆要求ばかりを真剣に議論させられ,婚姻費用はそっちのけ,などということは起こっていることです。

    なぜ,少なくとも婚姻費用と同時並行でしないで,後回しにされるのでしょうか。

    裁判所の取り扱いは,時間的間隔,時間の先後の意識がまるでなく,
    本来あるべき姿とは真逆のことを平気でするのだなと思った瞬間でした。

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