1100 最高裁も容認!?,事件記録を貸出す唯一の例外

裁判所は,当事者に記録の貸出はしません。

当事者が一度裁判所に提出した物は決してお返ししませんし,
必要であれば,せいぜい弁護士会を通しての謄写ができる程度です。

判決や和解調書であれば,書記官が公証した正式な謄本はいただけるでしょうが。

しかし記録そのものの貸出等は基本無理です。


【遺産分割の中間合意のみが例外】
ただ,遺産分割裁判には,最終決定としての審判があるだけでなく,
時には,裁判手続の途中でも,裁判所の指導により,
相続人全員が合意して,不動産を売却して金銭換価をすることもあります。
(不動産のままではなく,金銭を相続人に分配する・・・・ただ売却前に相続登記も必要)

遺産分割ですから,どのみち,遺産たる不動産について,相続登記が必要になることは多いはずです。

ここで,最終調停合意や,最終審判書であれば,相続人の範囲が裁判官の判断で明示されます。
この場合,相続登記は,審判書を元に登記できます。スムーズにいくのです。
ところが,中間合意では,調書で相続人の範囲の確定を敢えて明示しない,というのです。
(当事者が頼んでも,です。)

するとどうなるかというと,当事者には二度手間です。少なくともそうなるはずです。
そもそも裁判所への申立て段階で,全国に散らばる全相続人や相続関係を示す戸籍等を全国から取り寄せなければならないのですが,
相続登記等をしようとして,法務局に申請しようとすると
以前集めた相続情報である全部の戸籍等をもう一度原本提出しなければならないことになるのです。

要するに,裁判所は裁判所,法務局は法務局,です。


【中間合意では,相続人の範囲の確定の裁判を出さない】
裁判所の手続でありながら,相続人の範囲の確定をしない理由は全く以て不明です。

遺産分割手続は,相続人の範囲の確定が最も優先的事項です。
これをさておいて手続を進めていくことはできません。
相続人が1人欠けていたら,結局全部やり直す必要があるのです。
裁判に何年かかろうと,1人でも欠ければアウトです。

    そのため,裁判所は,相続人の範囲確定には,本当に神経を尖らせて徹底的に行います。

    申立当事者は,それこそ全国から住民票や戸籍を全部取り寄せしなければなりません。
    申立当事者は書記官がもう良いというところまで調査して戸籍謄本等の原本を提出しなければならないのです。

    申立当事者は,実はこの作業だけで1か月ほどかかります。

    しかし,それをしないと裁判所は期日を指定しません。
    裁判手続を開始しません。

    のみならず,如何に遺産分割手続の途中段階における中間合意といえど,
    裁判官・調停委員,書記官,場合によっては調査官も参列し,
    それこそ当事者は,弁護士が就いていても,全員出席して合意手続をし,
    この手続を裁判調書に残すのです。

にもかかわらず,その調書には相続人の範囲確定の文言は入れないというのです。
一行入れれば済むのに。


【無理を通せば道理が引っ込む】
ただこれはお役人の都合にすぎません。

このような二度手間は,普通当事者は納得いきません

簡単に手に入る物であればそれでよいですが,
前記のとおり,相続関係によっては,戸籍の取り寄せ先が,北海道や九州になったりして,労力も費用もかかるのです。

私からすれば,よくもまあ,こんな話を真顔で言えるなと思います。

中間合意であれ,最終合意であれ,最終審判という決定であれ,
相続人の範囲の確定は絶対に必要です。
中間合意だけ裁判所が調書に明記しない理由はあり得ません。
明記してくれれば,登記所には調書の提出だけをすれば足り,
戸籍関係の再度の提出は必要ないのです。

    そもそも相続人の範囲の確定がないとの前提での,
    相続人の中間合意それ自体が本来成立しうるのか,甚だ疑問です。
    そもそも不動産売却の中間合意の条項の効力自体が怪しいものにならないか,
    とすら思えて仕舞うほどです。


【記録貸出は例外中の例外,あくまで便法】
最初に述べましたとおり,裁判所は,
この当事者の著しい迷惑を,記録貸出によって乗り切ろうとするのです。

確かに,記録貸出があれば,一度出した戸籍等の書類一式を登記所に提出できます。
全国の市町村から再び戸籍取り寄せをすることはなくなります。

しかしそもそも中間合意であっても,最終審判等と同様,
相続人範囲が確定した旨の一行を入れるだけで,全てが解決します。

他の裁判では全く例を見ない,記録の貸出を無理にする必要は喪失するのです。

    もし,他の裁判と同様,記録の貸出という便宜を認めないとしましょう。
    それが当たり前ですので。

    すると,当事者はやはり,全国から戸籍の取り寄せの二度めを行うべきことになります。別途費用と労力を負担しなければならないことになるはずです。
    司法書士に頼めば結構なお金もかかるでしょう。
    弁護士自身がやる場合でも,再度の労力が掛かり,機会損失が発生するでしょう。

    弁護士等は,公務員とは違い,仕事をしてもしなくてもお金が入る職種ではありません。
    二度手間という余計な仕事を負担させられると,その分収入の機会を失い,むしろ損失になります。

    こんなおかしなことになるのは,裁判所が,
    中間合意調書に,相続人の範囲確定の条項一行を挿入することを拒否するからです。

お役人のやることは,まったく理解不能です。

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