1068 司法改革の大失敗は,弁護士急増と法テラス等を同時にやったこと(小泉政権の失策)

仮に,ある施策が複数考えられるとして,
それぞれは正しいこと同士であっても,
それらをまとめて同時にやってしまうと間違いが生じることがあります。
ポリシーミックスの誤謬とでもいえばよいのでしょうか。

それをやってしまったのが,小泉政権下の司法改革です。
①弁護士を急増させたこと
②法テラス設置と弁護士料金の低廉化
さらには,
③弁護士を目指す人間に,高額な法科大学院の通過を強要する
です。

言ってみれば,自由主義の悪いところと,社会・共産主義の悪いところを組み合わせた,無茶苦茶なポリシーミックス


【もう一つのポリシーミックス:人権擁護法案もあった】
少し話が逸れるかもしれませんが,
当時の小泉は,実は4つ目の施策を持っていました。

彼は,天下の悪法で,裁判所=法の支配無視の人権擁護法案推進者でした。
裁判所の公平な裁判を通さずに,どんどん日本人を「差別だ」とレッテル貼りして,
強制力を行使するという,無茶苦茶な法案です。

    安倍総理を初めとする「日本を取り戻す」愛国議員等は,こぞって反対したそうです。
    この悪法に反対した愛国議員の多くは,郵政民営化に反対したそうです。

    小泉は,自民党の伝統に反するのみならず、
    そもそも日本では,どこぞの社会でも決してしないような,
    反対候補者に刺客を立てるという,なりふり構わぬ常軌を逸した方です。
    日本人離れした冷酷な方です。。
    (実際に日本人の血は余り混じっていないとのウワサもある)

この4つめの法案が通っていれば,弁護士に対して,
4つの異種のポリシーミックスがなされていたことになります。


【自由主義施策と社会・共産主義施策のダブルバインド】
①は正しいし?,そして②も正しい?

ただ,①と②が一度に組み合わさると,果たして,弁護士業界はどうなるでしょうか?。

前記①の弁護士の数を増やすことは,
自由主義的な観点からすると,ある程度はやむを得ないものといえるかもしれません。
ノーベル経済学賞を取ったフリードマンは,
実は,法の支配の原理をよく分かっている方ですが,
参入障壁を設けるのは好ましいことではないと言っています。

ただ,仮にそうだとしても,自由主義に立脚するなら,
例えば,報酬の設定も自由になるはずです。
要するに,「自由診療」の類。。。。
自由主義の理屈ではそうなります。
弁護士の価格は,自由競争原理によって決めるということです。
もちろん,競争激化によって,価格は自ずと下がっていく場面も増えるでしょう。

ただ,自由の良いところは,仮に一方で価格が競争で押し下げられる側面があっても,
例えば別の分野では,創意工夫によって価格をつり上げることもできるという意味です。

    ちなみに,司法改革=自由化の前は,
    弁護士は弁護士会の定めた報酬基準に従っていました。
    暴利を貪ることはできませんでした。
    品格と良識を,価格にも求められたのです。
    日本風ですね。

この自由化だけなら未だよかったのですが,
同時に②の法テラスという価格統制的なシステムが構築されてしまいました。

    もちろん,法テラスという制度単体を見る限り,
    それが全く間違いだとかは言いません。

    必ずしも裕福ではない一般の方に利用しやすい価格帯を形成すること自体が悪とは言えません。
    要するに,社会主義的な観点から生まれたのが法テラスだ,というだけのことです。

ただ,先の自由主義とは矛盾する部分ができてしまっています。
法テラスの価格統制機能です。
弁護士業務の価格を,弁護士はおろか,商売すら一度もしたことのない役人どもが,余りにも低く設定したのです。

そのため,弁護士の価格は,法テラス事案でなくとも価格低廉を招きました。

    弁護士を増やしただけでも,競争は激化するのですから,
    一定限度の価格抑制効果があるのです。
    一般事件ならじわじわと下がっていくでしょう。
    ところが,それ以上に,急激に価格を押し下げることに結局なるわけです。

このように,思想を各異にする施策の混合により,弁護士はどんどん困窮していきました。
→後注)


【法科大学院強要も,本来自由化とは相容れない】
法科大学院強要という制度も,それ自体としては,
弁護士になる方の素養を高めるという趣旨であり,それ自体がおよそ間違っているということではないかもしれません。

しかし,こんなに高価な大学院を更に通らなければならないというのは,
弁護士の参入をより自由にするという趣旨と矛盾します。
参入を自由にする方向であるなら,理論上は資格試験を楽にする,楽にする方向になります。

もちろんそれでは,質が落ちるので拙いというのは誰でもわかりますが
長年の歴史をもつ司法試験があるのですから,高額な法科大学院は不要でした。

法科大学院が合格者の質を担保する側面が仮にあるとしても,その分参入したい人が,金銭面で志を断念しなければならない危険があります。
結局①の参入自由とは矛盾します。
だからこそ,弁護士を自由化したいなら,司法試験だけで良いのです。

先の①の自由化の思想に反する疑いが極めて強いです。


【廃案にはなったが人権擁護法案も弁護士を制約する原動力に】
廃案にはなりましたが,小泉の人権擁護法案は,
そもそも裁判所や裁判を通しませんので,
弁護士の商売を奪う危険があったのはもちろんのこと,
もし,小泉政権に敵対する弁護士(「抵抗勢力」)が小泉を訴えたとき,政治家が法務省に対して持つ指揮命令権限によって,その弁護士を容易に抹殺できます。
しかもそれが裁判外で可能だということです。
→後注2)


【小泉政権の過ち】
最近は皆口々にいうようになりましたが
小泉は,本当におかしな施策ばかりしたのだと思います。

長年かかって培ってきた制度や,
そもそも日本人のバランス感覚というものを全然理解しようとせず,
徒らに,ぶちこわそうとする態度は,本当に問題です。

    ①弁護士の参入自由化(自由主義)
    ②法テラス(社会主義)
    ③法科大学院強要(自由主義違反/むしろ参入障壁に)
    そして,廃案にはなったものの,
    ④人権擁護法案(法の支配無視,立憲主義破壊)

    小泉のしようとした施策が如何に,思想的にでたらめで,混乱したものかが一目瞭然だと思います。
    →後注2)


    後注)
    最近では,弁護士の間で,
    「法テラス倒産」という言葉が飛び交うようになっています。

    法テラスが根本原因ではないにせよ,法テラスの価格統制を直接の原因・弾き金として,発生する倒産という意味です。

    小泉の司法改革(①~③)が要するに大問題だ,ということです。


    後注2)
    小泉は,若い頃から結構やんちゃをしているようでしたので,
    私の想像では,弁護士や法律家というものがとことん嫌いだったのかもしれません。

    弁護士等法律家は,基本,どこの官庁の監督・支配にも服さないので,政治権力を強行する彼の手法が通用しないからです。

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