930 刑事国選,被害示談の価値は変わらないのに,起訴されると報酬加算,不起訴だと不加算の怪

国選弁護人は,被疑者弁護とともに,被害弁償もします。

被害弁償やその示談は,やはり価値があります。
謝罪や被害回復は,本来あるべき姿に戻ろうとすることに助力することです。
一旦秩序が乱されたとしても,それが回復に向けて方向転換していくことになるのです。
平和の回復といいますか。

もちろん,弁償等したからと言って,
被害者がそれで被疑者を許すかどうか,減刑嘆願書を書くかどうか,
はたまた被害届を取り下げるかどうかは,全く別です。

いくらお金を出しても許してくれない事件はありますが,そんなのは当然です。
それでも,被疑者や親族が謝罪をしたり,弁償してせめてものの気持ちを伝えるのは,無意味ではありません。
もちろん,謝罪の際,二度と迷惑を掛けないことを約束するのも当然です。
その意味では被害者は,最低限度の安心感は得られるのです。

刑事弁護人は,「いくら謝っても弁償しても,刑事罰は変わらないな」と思っても示談や弁償の仕事はします。
それは,ささやかながら社会のためになることだからです。


【起訴されないと,成功報酬はないおかしさ】
このように,被害弁償や示談等を弁護士がすることの積極価値は,あります。
我々弁護士や検察官・裁判官が思うほど,社会的には無意味ではないです。
実際,検察警察は,示談や被害弁償には関わりません。

ところが,法テラスの規定では,
本来ハードルが高い作業であるところの,
被害者との示談を済ませ,被害者の許しを得るところまでいっても,
起訴されてしまえば,2万円程度ですが成功報酬を戴けるのに,
逆に不起訴でと,貰えないという逆転する規定
を設けているのです。

示談をすることの価値は前記のとおりだとすると,
誠に不公平で不合理な規定です。

不起訴になるのには,大変な努力が必要です。
お金の準備のことではなく,被害者との丁寧な対応が,です。
被害者は、そもそも許す義務は負担していません。
お金をいただいてもそれは変わりません。

辛いのは,起訴前は,最大20日間しかありません。
起訴後は,裁判まで1か月はラクラクあります。
忙しい中で,大変に急いでやった前者では,成功報酬がなく,
有り余るほど時間がある起訴後では,成功報酬があるなんて余りにもおかしい。

    しかも起訴前の示談で,完全に不起訴に持って行ける場合とは,
    仮に3件4件と被疑者が犯罪を重ねていたら,3,4人の被害者全員と示談等を済ませるところまでしないと駄目。
    そう思うからこそ,全力で3,4件の示談に臨むことがあるわけ。
    そんなに短い間で本当に頑張っても,
    それが見事奏功して起訴されなかったとすると,成功報酬はない。
    逆に失敗して起訴されると,成功報酬が貰えるというおかしさ。

    では,真面目にしない方がむしろ誉められている気分。


【不起訴に導くのは御法度!?】
このように,被害弁償や示談の価値は同じなのに,
起訴されると追加報酬は貰え,
上手く不起訴まで持って行けたときは,逆に追加報酬はない。
もちろん,国選弁護人なので,不起訴でも本人からは金品は受け取れない。
(国選は,機械的に割り当てられるから,元々親しい間柄ということすらない。
同じ被疑者に二度当たることはない。)

後者はまるでペナルティーですよね。嫌がらせに近い。
どれだけしんどい思いで,被害者全員と各示談を重ねたと思っているのか!

これは,法務省・法務大臣が,不起訴に導いた弁護士は,
むしろ問題だとみている証拠です。


【起訴後の被害弁償に対しては,我慢料として支払う趣旨!?】
あるいは,起訴されたにもかかわらず,なおも弁護士が誠意を持って,
被害弁償したという事実を重く見ているということです。
「我慢料として出してやった」,「良い子良い子,お駄賃上げるね」
という感覚なのでしょう。

ただ,それは取りも直さず,被害弁償の価値をそもそも見誤っているからです。
被害弁償は,検察官=法務省が自分達のためになされてこそ価値があるにすぎないと,完全な見当違いを犯しているからです。

    なお,言っておきますが,こちらが起訴不起訴を選べるのではないのです。
    あくまで,検察官の裁量です。
    うまく示談ができても,理論上は起訴することもできます。
    こちらがした努力や苦労は皆同じです。
    被害弁償の価値等が変わるはずがないのは,これからしても明白です。

このような考えしかお持ちではないのであれば
たかだか2万円の追加があるだけのために,
起訴後といえど,示談する気には,正直言ってなれません。

だから,お役人は駄目なんです。

カテゴリー:公務員刑事問題弁護士

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