805 「二階級特進」等の退職時の昇給制度は,行政官僚には必要かも(勧奨退職)

よく,刑事ドラマの殉職とか,
戦前の兵隊さんの勇猛果敢な闘いによる戦死の場合,
「君は名誉の死だ。二階級特進だ」
と言われる場面が出てきます。

まず,これは問題の無い,公務員の昇給制度なのかなと思います。
命があれば,当然あと二階級くらいは昇進したでしょう。
特進が2階級というのは,
①殉職・戦死ということで1階級特進
②それで不本意ながら法律上退職させられたことでもう1階級特進
かな,と思います。
・・・・違っているかもしれませんが。
ただ,いずれにせよこれを特に問題視する方はいないと思います。

【公務員における類似規定】
公務員の早期退職の場合,これに似た制度・運用があります。

    国家公務員退職手当法4条
    1 11年以上25年未満の期間勤続した者であって、次に掲げるものに対する退職手当の基本額は、退職日俸給月額に、その者の勤続期間の区分ごとに当該区分に応じた割合を乗じて得た額の合計額とする。
    ① 略
    ②  その者の事情によらないで引き続いて勤続することを困難とする理由により退職した者で政令で定めるもの
    ③ 略
    2 略
    3  第一項に規定する勤続期間の区分及び当該区分に応じた割合は、次のとおりとする。
    一  1年以上10年以下の期間については、1年につき100分の125
    二  11年以上15年以下の期間については、1年につき100分の137・5
    三  16年以上24年以下の期間については、1年につき100分の200

要するに,組織の都合や政治的都合でお辞めになった公務員様は,
例えば,退職金が最高で2倍換算になるということです。


でもこれではまだ二階級特進ではないかもしれません。


【泊付け人事を組み合わせると】
ところが,いわゆる「箔付け人事」等で有名な話として,
勧奨による退職の直前に階級が1つ上がることが多いときいています。

つまり,官僚の方の給与の号俸が退職の直前に1つ繰り上がるようなのです。
例えば,ある退職の勧奨を受けた人のその年の月額俸給が50万円だったとします。
それで実際退職する段になると,例えば1号俸昇給して月給55万円にして差しあげるのです。
すると,退職金は本来の計算より大きく換算されることになります。

これは,内部昇進の話で法律の規定の話ではないので,
組織内の都合でできます。

政治家に転身する同僚のために,箔付け人事を行うのはこの例です。
政治家になるには,選挙資金等莫大な経費がかかるから,かもしれません。



以上を要するに,勧奨退職の場合,
①上記法律の規定により,退職金の支給率が上がり
②組織内部でする昇進により号俸が1つ繰り上がる。
この2つを併せると,二階級特進に近いものになるようです。


【事実上の「二階級特進」は必要?】
私は,人事院勧告の制度等や,前回の大都市手当等とはちがって,
こうした早期退職の場合の手当は,実は必要かなと思っています。

    中でも,政治の方針が,政権変動等により大きく変わったような場合,
    あくまでも仮定の例ですが,例えば,
    かつては日中友好の政策で通してきたので,ODAの係官が必要だった。
    しかし日中の関係悪化によりODAを廃止せざるを得なくなって,
    対中部署の廃止を決めたとする。
    その中心的な役割を果たし続けてきた官僚様を配置転換してもよいが,
    対中関係断絶のため,政治事情で退職を求める方がよい場合もあるかもしれない。
    中国とのパイプの強すぎる人はかえって困るという風に。

    良い例ではなく申し訳ありませんが,いずれにせよ,
    そうした政府の突然の方針転換の必要がある場合に,こうした特進制度がないと可哀想だ。

    辞めさせることこそがむしろ可哀想だが,
    ただそうだからといって,政治が官僚を絶対に辞めさせられないのも困ることもあろう。


【日本社会の集団主義や同調圧力,政治情勢の急変等】
一般の会社だって,多勢に無勢で,立場の弱い少数者が,辞めさせられている例はよく聞く。
会社内で問題が起こったときに,紛争の当事者のどちらが正しいか,ではなく
騒がしくした方に辞めて貰うというやり方は本当に多い。

法律的に正しいとはいえないが,会社としてやむにやまれぬ時には,
(悪くないが騒がしくした方に)退職金をはずむのは,せめてものの配慮だ。

極端な例になると,ある社員が異性社員から余りにモテまくるので
同性社員達がやっかみを持って,組合等の権力を行使する例もあると聞く。
仕事の出来不出来とは関係ない話。。。

そうした集団行動や組織の論理自体が正しいのではなく,
公務員の世界も一般論としては,
組織や政治の論理で,途中で辞めなければならないこともあるかもしれない。

だとすれば,そうした規定や運用を残しておくのは,一応必要かなと思います。


【悪用は拙いですが】
どのみち悪用はいけません。
そうした規定等があるからといって,無闇やたらに辞めさせて良いわけではないです。

かといって,逆に例えば行政の世界で,余りにも過去の栄光や業績ばかりを見る余り,
運用を厳格に制限しすぎて,政治が時代の変化や国民のニーズを見誤り,結果柔軟に対応できないようでも困る。


【まとめ】
前記のとおり,人事院勧告の制度のあり方や大都市調整手当という裏ワザは問題だと思いますが,
二階級特進の制度運用は,まあ仕方ないのかなと思います。

前者は公務員という特権を行使し続ける人の問題ですが,
後者は,公務員の世界から(泣く泣く)去る人への配慮の話です。注)

    前記のとおり,日本は,周囲の同調圧力が強すぎて,
    大勢とと少しでも違うことをすると,憂き目に遭いますよね。
    集団の方が間違っていても,です。
    実際組織内では,足を引っ張る人も実は多い
    (しかもその人は多数の社員のためと,善意で信じてしていることも実は多い
    ・・・・悪意でないところが実に厄介な話ですが,要は日本ではそれが横行する。)

    それが理想の姿とは到底いえませんが,日本でなくなるとは到底思えませんし,
    しかも前記のとおり,政治には機動性や柔軟性も必要ですので,
    それで辞めざるをえなくなった人には,特進があってもよいのかなと思います。



注)
なお,公務員の退職金が一般に高いことと,二階級特進の正否とは一応別の話です。
前者が低くなれば,後者も結局は下がります。

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