782 調停は調停でも,負債整理にはやっぱり使える特定調停

債務整理には,自己破産や民事再生(個人再生)手続は良く知られています。
それはそれは強力な手続です。

あともう一つ,余り活用されていないかもしれませんが,
負債整理には,特定調停の制度も活用できます。
(平成11年12月13日成立,平成12年2月17日施行)。

「調停なんて,くその役にだって立つもんか!」,なんて言わないで。

正式名称は
「特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律」です。
実に意味深い名称ですよね。

    実は,裁判所的には,
    かつて民事再生や個人再生の制度が導入された際,
    特定調停との関係性や優劣,窓口の振り分け指導ををどうするかが
    検討されていた記憶です。

    民事再生法も,平成11年12月22日の成立,平成12年4月1日施行です。
    まさに特定調停法と同時期の立法ですね。
    しかも実際,民事再生法は,債務者のニーズに合わせる方法を新たに提案しました。

    要するに,民事再生法と同様,
    特定調停は,紛れもなく,負債整理のための有力なツールの1つだということです。



特定調停のメリットは,
①抵当権・根抵当権等による担保権実行,不動産競売の停止,
②公正証書による強制執行の停止
③裁判所の判決や和解調書,家事調停調書等による強制執行の停止
が,なんと担保なしでできることです。


ところが,民事調停一般では,①と②は執行停止の申立てはできるものの,③は出来ません。
しかも,担保は必ず要求されてしまいますので,使い勝手は悪かったと思います。

    ex.1000万円の公正証書上の貸金による強制執行を停止するべく,民事調停一般を申し立てたら,担保金は500万円は積まされるかもしれません。
    何故なら公正証書があるからです。
    担保権実行でも同じです。抵当権・根抵当権があるのですから。

【条文比較】

    ◎特定調停法第7条 (民事執行手続の停止)
    1 特定調停に係る事件の係属する裁判所は,事件を特定調停によって解決することが相当であると認める場合において,特定調停の成立を不能にし若しくは著しく困難にするおそれがあるとき,又は特定調停の円滑な進行を妨げるおそれがあるときは,申立てにより,特定調停が終了するまでの間,担保を立てさせて,又は立てさせないで,特定調停の目的となった権利に関する民事執行の手続の停止を命ずることができる。ただし,給料,賃金,賞与,退職手当及び退職年金並びにこれらの性質を有する給与に係る債権に基づく民事執行の手続については,この限りでない。
    2~5 (以下省略)

    X民事調停規則第5条 (民事執行の手続の停止)
    1 調停事件の係属する裁判所は,紛争の実情により事件を調停によって解決することが相当である場合において,調停の成立を不能にし又は著しく困難にするおそれがあるときは,申立てにより,担保を立てさせて,調停が終了するまで調停の目的となった権利に関する民事執行の手続を停止することを命ずることができる。ただし,裁判及び調書その他裁判所において作成する書面の記載に基づく民事執行の手続については,この限りでない。
    2~5 (以下省略)



自己破産・民事再生(個人再生)と並ぶ,負債整理の手段として特定調停を見たとき,
利用価値の中心は実は①②ではないかと思います。

それは実務経験からみてそれは明白です。
(これが分からない弁護士は,経験が浅いと言えましょう。)

上記①~③に関し,特定調停で③が追加されたそのこと自体のメリットは分かりませんが,
担保なしとも相まって,債権者への対抗力を増す手がかりにはなるでしょう。

裁判所も債権者により強く対応しやすい思います。

                    -byフローラ法律・岡崎 from 2013.3.24-

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中