775 法科大学院制度からみた公務員採用,今後大卒以上にしもっと大学との連繋を深めよ(大学改革にもなる)

私は,裁判所にいた関係で,
高卒の職員でも本当に優秀な人間が多くいることは当然知っている。
高卒でも学校一番とかはもちろんいるだろうし,
頑張り次第で伸びていけるのが公務員の世界だから,
大学行けなかった分,奮起して頑張った人も数多く見ている。注1)

元々日本の公務員採用制度が,明治維新以来伝統的に
実家が貧しくても優秀な人材を結集してきた点で
特筆すべきシステムであったことも間違いない。


しかし今では,戦後70年にもなり,日本も相当に豊かになった。
大学進学率も高くなったし,奨学金制度等の充実により,
その気になれば,誰でも大学に行けるようになった。

    その上で言うと,
    方や司法試験にせよ,司法書士にせよ,公認会計士にせよ,
    さらには医師や薬剤師に至るまで,
    ほとんどの場合,大学卒が事実上の条件になっていることが多い。

    大卒の場合の試験科目の免除等がまさにそれだが,それでなくとも,
    大学に行かなくて高卒で国家資格を取るのは,本当に困難で狭き道だと言える。

    医師であればなんと6年間の医学部に行かねばならない。

    弁護士も,昔はともかく,今では大学のほかに,法科大学院にまで行かねばならない。



でも,でもでもでも,
公務員だけは,そうした試練や追加の試練等はない上,
安定した収入,しかも大企業ベースの収入と民間を上回る退職金と年金を確保している。
それも高卒で。。。
高卒同士の若い公務員20代前半のカップルが,住宅ローンで新築の家が買えるほど。

それ以上に,私が重視するのは,その行使する権限である。
高卒と言えども公務員になれば,法律の執行に関わる立派な法律家。
市民生活を規律する法律業務に関わっている。
場合によっては,弁護士や司法書士等や,医師の管理監督に関する業務にも携わっている。

これら弁護士や医師らが,大学・大学院のほか,重要な国家資格を取る必要があるのに,
彼らをも管理するかの法律業務に関係する公務員が高卒で良いかはやはり疑問がある。注2)

    これに対しては,以下の反論があろう。
    ①高卒の公務員は,法律事務の下働きだけであり,決裁は何十年も勤務した上司の公務員がしている,とか,②公務員の研修はお金をかけてきちんとやっており,大学で学ばなくとも十分である,とか。

    しかしながら,①下働きだからといって,国や地方の法律事務に関わる公務員が高卒でよいとは思われない。
    また,②研修は研修で良いが,そうした論法は,一般教養等で視野を広めるとか基礎学問を修得する意義を余りにも馬鹿にする話である。
    しかもそれなら法科大学院等は全く要らないことになろう。
    裁判所には裁判官研修と自庁内教育システムがある,検察庁にももちろんある。
    弁護士だって,弁護士会の研修を義務づけられているし,自己研鑽のための任意の講座は,本当に充実している。弁護士会の規律に反すれば,仕事をさせて貰えなくなる。

    現在の研修があるからといって,重要な権限を持つ方が大学に行かなくてよい理由はない。

    医師や薬剤師だって,能力向上のための研修は山ほどあるだろう。でも大卒等は当然の前提になっている。



なお,法科大学院が設置された所以は,弁護士等の実務家のためではなく,
『白い巨塔』に埋没しがちな大学教授を救うためとの見方もできる。
大学が実務とかけ離れすぎていたからだ。
実務教育に乗り出す中で,大学の先生が研鑽を深めるわけだ。

この見方によるなら,なおさらのこと,公務員と大学を関連付けるべきだ。
公務員の行政実務とかけ離れている大学教育を見直すきっかけにするためにも,
公務員の受験資格を大卒以上,そして公務員版の法科大学院?が必要かなと思う。

法科大学院はともかく,公務員の基礎教育に大学が深く関わるべきだと思う。
連繋を深めた方が良い。注3)


    注1)公務員の高卒は確かに優秀であるが,しかしだからといって民間に入った高卒が優秀でないとは直ぐには言えないのではないか。

    注2)自衛隊職員や警察職員等の現場感覚や現場判断が極めて重視される職種については,大卒を求める必要はないと思われる。
    庁舎から1歩も動かず,デスクワークだけをして,国民をあれこれ指示するする一般公務員を念頭に置いて言っています。

    注3)かつて,裁判所でこんな事件があったと聞く。
    それは,裁判官が200件以上の事件を常時抱え大変な毎日を送っていたところ,
    高卒の事務官に事件に関係する論文のコピーを依頼したことがあった。
    すると,組合が大騒ぎして,その裁判官に抗議した。
    「立場の弱い事務官に余計な用事を言いつけて,その成長を阻害させるな!」と。

    ここまで主張するなら,大学教育くらい受けさせるべきだと思う。

                    -byフローラ法律・岡崎 from 2013.3.24-

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