764 抵当権による不動産競売,被担保債権の不存在でこれを争うには

自分の土地と家が競売にかけられてしまった。
他人に頼まれて,つい土地と家を担保として提供してしまった(物上保証)

しかし,既に競売の前提となる借金は返済済みだ,あるいは消滅時効にかかっているはずだ。
こんな場合,どうしたらよいか。

まず,競売開始の決定がなされた直後であれば,
執行異議を出すことが考えられる。
執行異議の理由には,担保権の不存在や消滅、被担保債権の弁済、被担保債権の弁済期の未到来などが挙げられる。

    ただ,もし,これを棄却等された場合は,どうするか。

    これに対し執行抗告はできないとされているので,
    あとは,担保権不存在確認の訴えを提起することになる。
    ただその際は,執行停止の申立をしないと競売手続は止まらない。
    しかも執行停止の申立ては担保金を裁判所に収めなければならない。
    担保金は,決して安くはない。
    抵当権実行の前提となる債権額の半分くらいにはなると思われる)



次に,これをせずに,競売手続が進み,入札までされてしまった。
所謂開札であるが,開札で最高価の入札が出ると,
通常は1週間程度で,売却許可決定が出される。

この時,競落されると困る所有者さんはどうしたらよいか?(注)
売却許可決定には,執行抗告の制度があるが,
被担保債権の消滅不存在等は,執行抗告にはなじまないとされている。

    最決平成13.4.13民集55巻3.671・金法1622.43によれば,
    (開始決定時に)法定文書→執行異議の制度がある以上,担保権不存在又は消滅は民事執行法71①には当たらない,とする。

すると,ここでも,やはり担保不存在確認の訴訟を提起し,
それとともに執行停止の申立てをするよりほかないことになる。



ここで重要なのが,そのデッドライン,タイムリミット
売却許可決定後,買受人が代金を納付すると買受人に所有権移転する。
もはや不服申立てはできない。家と土地を失う。
(それ以後は,抵当権を実行した者等に対し損害賠償請求訴訟をすることになるか。
買受人から買い戻せればよいが,それこそ大金がいる。)

だから,家と土地を守るには,
遅くとも代金納付期限の始期の前までに(納付期限の終期ぎりぎりではなく)
,前記担保権不存在の訴訟と執行停止の申立てをしておく必要がある。

スケジュールの一例(詳しくは各裁判所で尋ねて下さい。)
①開札日
(約1週間後)②売却許可決定
        (1週間後)③売却許可決定の確定
            (1週間未満)④代金納付期限の通知
                    (約2週間)⑤代金納付期限満期
                 
要するに⑤の段階まで待ってはだめです。
遅くとも④までの間に,前記訴訟提起及び執行停止申立てです。
⑤の代金納付の終期までであれば,開札から5週間程度あるかもしれませんが,
④迄だとすると,開札から3週間もないことになります。

    注)最初の競売開始決定に対する執行意義をここで出せるか。
    ここでも議論がありますが,
    売却許可決定に対する取消がなされない・できない中で,
    その前段階の手続である競売開始決定に対して執行異議を申し立てても却下されるとの意見が有力です。

                    -byフローラ法律・岡崎 from 2013.3.24-

カテゴリー:民事執行

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