763 夫婦の貸金は,地方裁判所?家庭裁判所?

夫婦のもめ事が発生するようになると,
坊主憎けりゃ袈裟まで憎いとばかりに,
大抵出てくる論点が,
「そういえば,あのとき貸したお金を返してよ」です。

    私が昔実例で見たのは大抵女性の主張でした。

    男が,それを言うと「男らしくない」とか
    「みみっちい」,「性格悪い」
    「心が狭い」とか言われますものね。

とはいえ,最近は男性も言うようになりましたので,
最近は男女平等ですね。

まあ,どちらからにせよ,
これは家庭裁判所マターでしょうか,地方裁判所マターでしょうか。


結論を言うと,
お金の出所が夫婦共有財産から出たのか,
結婚前の貯金から出たのか
です。
もちろん,これらは証拠としてはっきり立証できるとみた上での話です。
(いくら結婚前のお金だと言い張ったところで,
立証が出来なければ,夫婦の共有財産とみなされるかもしれません)

夫婦共有財産であれば,財産分与等の問題になるので,家庭裁判所マター。
結婚前に貯め込んだ秘密のへそくり貯金であれば,地方裁判所マター
といったところでしょうか。

前者は貸金として認めてくれないかもしれないということです。
後者は紛れもなく貸金。


【貸金の成立要件】
ところで,貸金が裁判所で認められるためには,
①契約書(返還合意)の存在
②金銭の交付の事実
の各要件を満たすことが必要です。

①も重要ですが
(例えば,恋愛関係にある者同士の場合,贈与の抗弁が出される)
②もかなり重要です。
例えば,悪徳金融業者の場合,100万円の貸金契約書を調印させながら,
70万円しか渡さないことがある。30万円は利息の天引き。
その場合,貸金は実際に交付した70万円の限度でしか成立しない。


夫婦の「貸金」と言っても,
もし,夫の稼いだお金を妻が管理している中で貯めたお金は,夫婦の物ですから,
仮にそこの貯金を使って,妻が夫に貸し付けても,
②の要件を満たしていないのではないかとの見方も出来なくもない。
100万円と契約書に謳っていても,夫婦共有財産からの支出であれば,
精一杯でも妻の持分の50万円の貸金にすぎないともみられなくもない。

っていうか,そもそも夫婦共有財産である以上は,財産分与の問題であり,
貸金としては処理ができない。
すなわち,夫婦が未だ離婚をしていない場合には,
100であれ,50万円であれ,妻個人のお金を夫に渡したとカウントすることも出来ない,ということになるのではないか。

    分かりやすく典型例を言うと,
    妻が完全に専業主婦一筋だった場合で,
    しかも婚姻前は学生卒業から1,2年くらいで結婚された方,
    その間はせいぜい多少のバイトをした程度で,
    ひたすら嫁入り修行をした良家の子女だった場合。
    そうした女性が貸金の主張をしてきた時は,
    婚姻前の貯金から夫に貸したと言っても,中々信用して貰えないでしょう。

    証拠不十分ということです。

カテゴリー:夫婦家庭裁判所家事事件

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中