744 借金だらけの夫,家を守るには,名義移転?離婚・財産分与?個人再生?

借金まみれの夫,妻が家だけは守りたいという場合,
どんな方法が考えられるのでしょうか。
またどれが最も効果的でしょうか。


ぱっと思いつくのは,離婚です。

離婚に伴う財産分与が詐害行為に当たるかについて,
最高裁判所昭和58年12月19日第2小法廷判決では,
「離婚に伴う財産分与は,民法768条3項の規定の趣旨に反して不相当に過大であり,財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情がない限り,詐害行為とはならない。」
  →PDF:最判昭和58年12月19日

まあ,この裁判例は,超有名の判決ですが,
やはり奥様には有り難い判決かもしれませんね。
家やマンション等を残せる道が開かれていますので。

ただ,この方法はあくまでも正式な離婚をしなければならないのです。
仲むつまじい夫婦には辛い話です。

    民法第424条(詐害行為取消権)
    1 債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。
     ただし、その行為によって利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この限りでない。
    2 前項の規定は、財産権を目的としない法律行為については、適用しない。



次に離婚しないで,そのまま名義を妻に移転をしてしまうというのはどうでしょうか。

それはちょっと大変です。
もし離婚しないまま,マンション等財産を妻に渡そうとすると,
夫の債権者が詐害行為取消権によって,譲渡を否定してしまうこともままあるのです。
 →PDF:例えば東京地裁平成24年12月4日判決


前記民法424条の要件としては,譲受人(妻)が知っていたことが必要ですが,
夫婦の関係性の中で,夫の借金を知らないという方が珍しいわけです。
妻が夫との日常生活の中で,
いくら目を閉じ耳を塞いで「見ない聞こえない」「見ない聞こえない」を繰り返し念じても
見てしまう,聞こえてしまう
ということ。

上記東京地裁判決のように,
夫が会社に関する借金を連帯して負ったのならまだしも,
普通のサラリーマンの夫婦で二人の共有マンションがある程度では,難しい。

    夫婦なんだから夫の借金を妻がコントロールすればよい
    と言われるかもしれないが,現実は中々難しいこともある。
    長い夫婦生活の中で,関係の修復は利きにくくなっている。
    しかも借金をする人は,人からお金をせびっては借りる名手
    つまり,その「世界」の役者・強者も多い。
    夫は簡単にすりぬけてしまう。

    その中で,夫の債権者がいつの間にか,
    なけなしの夫婦のマンションをターゲットにしようと
    にじり寄って来ていたりする。

にもかかわらず,債権者からの強制執行等を免れるために
夫の持分を妻に譲渡とすれば,
妻はぐるだと見られ,スパッとひっくり返される。


これに対し,前記最高裁判決によれば
財産分与は,実質民法424条2項の問題としているのか
原則として,夫の持分を妻に分与することで,家が温存できる。

    なお,離婚しない例(東京地裁判決等)でも
    もちろん,夫の持分だけが復活するだけではないか
    しかもそれを債権者が差押えて競売するとしても買い手がいないのではないか
    というと実はそうでもない。

    債権者自身が競落して,一旦妻とともに家の共有者となり,
    その上で,共有物分割の申立てをする。
    家は換価されて,妻は家を失う。
    ・・・・せいぜい微々たる金銭しか貰えない。



【偽装離婚は拙い】
なお,如何に最高裁判決があるからと言っても,
偽装離婚はやはり駄目なんじゃないか。

しかもこうした偽装例で問題なのは,借金のある夫は,多分行き場はなく,
かつ借金が終わるまでは生活保護が受けにくい状態に実際はあるので

結局妻が面倒を見ると・・・・偽装がばれる?



【最後の手段としての個人再生手続】
最後の手段は,夫に個人再生をさせられるかどうかです。
住宅を残したい以上破産手続ではだめです。家は残せませんので。

個人再生手続によれば,家を残すことが出来る可能性が浮上します。
離婚もしないで,です。

    ただ,以下の条件があります。
    第一には,個人再生手続は,資産要件があるため,
    資産総額が借金総額を下回る必要があります。

    第二には,いい加減な夫を手続に乗せられるかです。
    全部の借金を洗いざらい出す必要があるのです。
    中には,怪しい人達からの借入もあります。
    この種の手続は,正直さが勝負なので,難しいタイプなのです。

    妻だけがやきもきしていることもままあるようです。

                    -byフローラ法律・岡崎 from 2013.3.24-

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