741 弁護士の説明義務と二度目の裁判記録交付請求権やその費用について

私は,元判事だったこともあり,時々
「あの弁護士はどうですか」とか
「かの弁護士に依頼した事件について意見をうかがいたい」
と言われる市民国民がいらっしゃいます。

    私は,前者についてはよほど評判の悪い先生は別として
    「一生懸命やっていると思いますよ」と答えますし
    後者(セカンドオピニオン)については,
    「訴状とか準備書面とか今持っておられる主なものでよいので持ってきて下さい」
    というだけです。
    そして熟読してみても,言われるほど問題あるようには見られません。
    ポイントは全部押さえた主張をされていたりしています。

    依頼した方にしてみれば,それでも気に入らない何かがあるのかもしれませんが。。。。



逆に若い弁護士さんからの相談で,
「セカンドオピニオンを受けたいのか,
突然『明後日の土曜日,先生の事務所に行くから,
これまでの裁判資料一式を全部戴きたい』」
「FAXじゃあ駄目」
と青天の霹靂で言われたそうな。
先生のお仕事の都合すら聞かずに一方的に,です。

でもその弁護士先生は,作成提出した書面や相手方からの書面は
毎回毎回依頼者に電子データやFaxかいずれかの方法により
お渡しているし,忙しい時に突然言われても困る。
これまで再三相談や打ち合わせも回数や時間を取っていたのに,
と,がっくりしてため息をついておられました。

    私にはぴーんときました。

    おそらく前記私のようにセカンドオピニオンの相談を受けた弁護士が
    ここぞとばかりにいい気になって,
    裁判官にでもなったつもりで偉そうに
    「問題のある弁護士?」
    「なら,ちゃっと(早く),全部の資料をその先生から貰ってきなさい,ちゃっと」
    「弁護士事務所に直接取りに行って下さい」「Faxは駄目」

    と指示したからではないでしょうか。
    Fax等だと写真が白黒のべたで潰れてしまいますので。

    しかもその弁護士との約束日もあるので,それに間に合わせるように
    いきなり寄越せと言わざるを得ないのかもしれません。



なるほど,弁護士は説明責任を負っています。
そして裁判記録は交付しなければなりません。
しかもセカンドオピニオンを別の法律家に求めることは保障されるべきです。

しかしながら,私は実際の経緯は分かりませんが
もし若い弁護士先生のいわれるとおり,
毎回書面を交付していた前提があれば,ですが,
(余裕があれば二度でも三度でも交付してあげるに越したことはないでしょうが)
依頼者の再度交付請求の権利まではないし,まして即時請求権があるとは思われません。
それでなくても,膨大な資料になったりするのです。

かえって,一度渡している以上,理論的には別途費用の請求さえできるのではないか
まさか実際にこんな請求をする弁護士はいないでしょうが。。。

ただ,例えばカラーの資料が100枚くらいの事件は,ざらにあります。
トータル500枚なら,事務所のコピー費用でも数千円になります。
宅配すればその費用もかかります。

    弁護士の問題を調査するから記録全部必要というと,
    如何にも正当な目的があるかのようですが,真に問題があるかはまだ分からないのですし,
    (おそらく弁護士会による懲戒等の申請等さえしていないのではないか)
    少なくとも裁判記録を二度も三度も渡す理由がない。
    余分な費用を負担し,他の先約等をさておいてまでしてやることではない。

    しかも正式な請求ということであれば,厳正に対応せざるを得ない。
    すなわち,裁判所に提出した記録と符合するかを確認してからにならざるをえないし,
    利用目的如何によっては関係者の名前をマスキングする等の必要もあろう。
    少なくとも二度目であれば,です。緊急性の要件を欠いているからです。
    二度目を渡さないことによる損害賠償も考えられません。

結局,二度目の記録交付の請求に応じるかどうかは
弁護士側のあくまでも任意であり,
弁護士はせいぜい遅滞なく渡すことで足りるのではないか?
いずれにせよ依頼者に実害は発生しないし,セカンドオピニオンの道を閉ざすこともない。



もしとんでもない弁護士ならば,そもそも資料は一回目すら渡さないのでは?
毎回せっせと渡してくれる弁護士先生は,一応一生懸命やってくれているとの推定が働く?
仮にやり方につたないところがあるかに見えてもそれなりに一生懸命やっている先生に
「(二度目でも)とにかく直ちに資料全部寄越せと言え」と指導する弁護士
(セカンドオピニオン弁護士)もどうかしていると,私は思う。

警察ですら,容疑者の家宅捜索をしたいときは,令状を裁判所に請求する必要があるのだ。




【裁判所に行けば記録の閲覧謄写は可能】
そもそも裁判記録は,その弁護士だけが持っているのではなく,
むしろ正式なものは裁判所が全部持っている。

    なお,ここは医療におけるセカンドオピニオンと全然違うところだ。
    医療の場合,その医師や病院だけが診療録を持っているのだ。
    (裁判所ならぬ保健所や厚労省が保管しているのではない。)
    それを寄越せというなら未だ分かるが,それでも費用は請求されるだろう。

    なおかつ交付を受けるまでに,交通事故事件の経験からしても,軽く一週間は掛かる。

裁判所に行けば,依頼者つまり当事者本人であれば,当然に謄写請求ができる。
一度戴いているにもかかわらず,ただ「整理されまとまった,正式の書類一式が欲しい」
との理由なら,本来,自ら裁判所に行って謄写すべきだ。

実際それが最も正確で精度が高い。
なお,公開が原則の裁判所でも費用は別であることは当然だ。

セカンドオピニオンの弁護士先生から言われたからという程度ならなおさら,
原則として,自己負担すべきことにならないか。


【セカンドオピニオン弁護士は何様のつもり?】
ところで,セカンドオピニオンの弁護士は裁判官にでもなったおつもりか?
あるいは弁護士会の懲戒審査委員にでもなったつもりか?

    ただ聞けば,弁護士会への苦情申し立て等があった時でも,
    弁護士会の対応の仕方は,少なくとも最初は,
    「貴職に問題があるのかは未だ分かりませんが,依頼者からの意見がありましたので
    通知しますので,善処されて下さい」
    と言うそうです。

要は,ただ単に,勘違いした偉ぶった弁護士が,
労せず,きれいに整理整頓された全部の記録をちゃっかり戴きたかっただけでは?
(自分がその仕事を引き受けたいなら,せめて自分で裁判所に謄写に行くべきだ。)



私が若い弁護士先生に最後に言ったのは,
「去る者は追わず」
「その上であなたが誠意を持ってしていれば,そのうち
逆に有り難くて泣けてくるような,真心のある依頼者が来るよ。」

                    -byフローラ法律・岡崎 from 2013.3.24-

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