705 元少年Aの事件手記への制裁は,死者の名誉毀損・刑法230条2項の法改正からしてはどうか

例の殺戮を繰り返した元少年Aが事件手記で賑わしています。

表現の自由だの少年の名誉だの,オカシな言説が飛び交っている。
少年法61条との関係で(現在成人の)元少年Aの実名報道をしたらどうなるかとか,


米国にはサムの息子法とかがあるらしいから,
それを法制化したら良いとの意見もあり,それには別に異論はない。

ただ,私は,日本には刑法230条の名誉毀損や231条の侮辱罪があるのだから,端的にまずはこれを拡充したらよいと思う。

    刑法第230条(名誉毀損)
    1 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
    2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。

    刑法第231条(侮辱罪)
    事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。



私の考えは,まず刑法230条2項の死者の名誉毀損の規定を拡充する。

死者の名誉毀損は,現在の規定では嘘を並べてた場合でなければならないが,
自ら理由なく人を殺した場合に,その事件内容について述べた時は,死者の名誉を侵害したものとほぼイコールになるとしてよいと思われる。

    つまり,自ら殺害した事件の具体的な内容を述べれば,
    「死者の名誉を侵害したものとみなす。
    でいいと思うが,表現の自由を大事にみるなら,
    「死者の名誉を侵害したものと推定する。」とでもすればよいのではないか

    なお,『推定』の場合は,殺害者からの反対立証が果たされれば覆ることにもなる関係で、表現の自由の保障との調和を図れる。

侮辱罪についても,同様に,殺害者が被殺害者の被害内容を公然として述べた場合には,侮辱したものとする推定規定を置いてもよいのではないか。



この刑法規定の拡充手法のメリットは,
①例えば,今は成人になっている元少年Aが,
これで刑事裁判になった時には,裁判は公開だからもちろん実名報道はOKになる。
(少年法61条を心配する必要すらない。)

②死者の名誉とすると,元少年の保護という概念を飛び越える道が開かれる。
被害者・相手は死者であり,取り返しの付かない被害を被った者だから,
現在のような元少年の保護を盾にする保護の行き過ぎを是正できる。

③新しい刑事事件(名誉毀損等)の裁判では,
少年時代の事件も前歴として量刑の理由の判断資料になるから,
少年時代の記録を裁判記録として上程できる可能性が高まる。

つまりかつての少年重大犯罪について,現在反省しているのかどうかを,新しい刑事裁判で斟酌できることになる

④民事事件訴訟を提起した場合にも,損害賠償請求の認容がなされやすくなる。
今でももちろん,民事裁判で,こうした殺害人による著作に対し名誉毀損の主張は可能だ。
ただ現在は,表現の自由が嫌らしく立ちはだかるため,実効性が高いとは言い難い。
表現の自由は,原則正当行為と言われるので,法律的にはやはり立証が難しいことがある。
刑事罰が制定されると,民事でも違法を認定し易くなる。



なお,ある法律家が,テレビで
「こういう表現を取り締まるようになると,
例えば新聞記者が,殺害現場を取材して報道したら,これも違法になるのではないか」
と述べていた。

    しかし,自ら殺人犯罪によって知り得た事件内容を,
    刑期終了後手記として公表することは,マスメディアの報道とは根本的に違う。

    裁判原則にはクリーンハンドの原則というのがある。
    これによれば,汚れた手で為したことにつき利益を得ることを法は助力しない,
    つまり表現の自由の保障を抗弁とすることは原則としてできないことになる,
    利益を確保することも認めてはならないことになる。

    これに対し,マスメディアの報道は,自分で事件を起こしたわけではない。

    もっとも,例の朝日の自ら珊瑚への落書きによる嘘記事捏造は,クリーンハンド原則に反するかもしれないが。


追記:
なお,ちょうど,特定秘密保護法が,主体を原則公務員に限定したため,
結果としてマスコミを犯罪主体から外すことになったように,
クリーンハンド原則を使えば,表現の自由の広汎な制約にはならないはずです。

                    -byフローラ法律・岡崎 from 2013.3.24-

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