692 公務員給与は,必ず人事院勧告に従うべきか?

公務員の給与について
公務員は労働基本権を制約されていることの代償措置として,
例の人事院勧告制度があるのかと思っていた。
最高裁判決は,「代償措置」という言葉を使っている。


ところが,かつて人事院勧告に従っていない例も結構あることを最近知りました。

悪夢のような民主党政権下で実施された,
東北大震災及び不況財政難の中でなされた公務員給与を2年間8.7%引き下げ。
この引き下げは人事院勧告に反したものだったようです。

それを公務員労組が争った裁判例があるようなのです。
その裁判は,YouTubeで最近知りました。
しかも,私は前記給与切り下げ当時裁判所に在籍していたのに,恥ずかしながら,そんな論点があることすら当時は知りませんでした。

    そもそも裁判官は,最初から労組に入れないから,
    そして最高裁等に逆らう気持ちも最初からないので?
    気にしていないからかもしれません。


【人事院勧告に従わなかった例】
東京地方裁判所判決平成26年10月30日によれば,
人事院勧告(給与)は,昭和23年の制度発足以来,出されている。
①昭和35年から昭和44年までは,内容(較差)は勧告どおり実施されているが,実施時期がずれていたりし,この点も含め,勧告どおり実施されたのは昭和45年以降である。

②人事院勧告における民間準拠原則が確立したのは昭和35年前後であり,昭和34年に官民給与比較でラスパイレス方式が採用された。

③人事院は,昭和57年に4.58%の給与引上げ勧告をしたが,国会はその実施見送りを決定した。
④昭和58年は6.47%の引上げ勧告に対して2.03%の実施,昭和59年は6.44%の引上げ勧告に対し,3.37%の実施がされた。
⑤その後,昭和60年から勧告どおり実施され,平成13年までは増額勧告が出されていたが,その後平成24年までの間は,平成19年を除いて減額勧告あるいは改定なしの勧告が続き,実施内容は勧告どおりであった。

確かに,国家公務員法28条によれば,国会が勧告に拘束されるとは書いていない。
国会が「社会一般の情勢に適応するように,随時これを変更」できると規定されている。

なお,労組側は,国家公務員法64条を持ち出して反論。
公務員の給与は,俸給表によって決まり,その「俸給表は,生計費,民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して定められ(なければならない)」とされていることから,民間給与との比較で人事院がはじき出した給与水準(=民間準拠原則)に従うべきであると主張しています。

64条を見ると,労組側の言い分も分からなくもないですが,
28条で国会が情勢判断で変更できると書いてあるわけですので,
64条があっても,人事院勧告の法的拘束力を当然に認めることは難しいのかも。

    ただ,公務員だった私の意見ではなく,民間の方はなんと言うでしょうか。

    バブル崩壊後民間給与は下がり続けており(但し第二次安倍政権で好転),
    官民の実際の比較では2倍近くの開きが出ていることを指摘する声も今は多い。
    人事院が出す民間準拠原則の結果自体がそもそも民間の実情に合致していない?
    しかも退職金を一般公務員でも1人3000万円程も貰っていることなどから,
    逆に,「2年限定の給与カットでは甘すぎる」
    との声が聞こえてきそうです。

まあ,私の結論としては,
よい仕事をしている公務員さんにはしかるべき報酬は必要不可欠と思っています。

    ★国家公務員法☆
    第28条
    (情勢適応の原則)
    1 この法律及び他の法律に基づいて定められる職員の給与,勤務時間その他勤務条件に関する基礎事項は,国会により社会一般の情勢に適応するように,随時これを変更することができる。その変更に関しては,人事院においてこれを勧告することを怠つてはならない。
    2  人事院は,毎年,少くとも一回,俸給表が適当であるかどうかについて国会及び内閣に同時に報告しなければならない。給与を決定する諸条件の変化により,俸給表に定める給与を100分の5以上増減する必要が生じたと認められるときは,人事院は,その報告にあわせて,国会及び内閣に適当な勧告をしなければならない。

    第64条
    1 前条に規定する法律(以下「給与に関する法律」という。)には,俸給表が規定されなければならない。
    2  俸給表は,生計費,民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して定められ,かつ,等級ごとに明確な俸給額の幅を定めていなければならない。

                    -byフローラ法律・岡崎 from 2013.3.24-

カテゴリー:労働

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