687 平和安保法制反対デモ参加の樋口比較憲法学者は実は中国北朝鮮を研究していないのでは?

平和安保法制反対デモに参加した東大比較憲法教授樋口先生の御著書のはしがきの引用です。

「日本国憲法と基本的に同質の歴史的類型に属する憲法について、一定の方法的視角からのきりこみをこころみた。その反面、社会主義国や第三世界の憲法については全くふれていないし、資本主義国のなかでも、ごく限られた数の国しかとりあげていないが、これは、そういう諸国の憲法の問題が重要でないと考えているからではない。
 PDF→比較憲法はしがき及び目次

西側先進国・資本主義国の憲法だけの調査だなんて・・・・。

    そして,樋口教授の核心的な主張だと思われますが,その御著書の中で曰く
    (比較憲法改訂版507頁~508頁 青林書院),
    ①「9条が戦争放棄および戦力不保持を定めていることは,フランス革命期にまでさかのぼる侵略戦争放棄条項の系譜をひき,第二次大戦直後の西ヨーロッパ諸憲法とも共通の面をもっているが,同時に,戦力不保持まで定めて交戦権をも否定していることは,これまで国家主権の内容と考えられてきたことがらの重要な一部分を放棄したことを意味するから,画期的な決断ということができる。」
    ②「この条項を生み出した背景には,連合国からみれば旧敵国であった日本の武装解除,日本側から見れば,皇室制度維持のための『避雷針』という権力政治的な要素が色濃く見られるが,その客観的意義は,『平和のうちに生存する権利』(前文)をうちだしたこととあいまって,世界の憲法史のなかでも先駆的な意義をもつものなのである。」
    ③「現実政治のうえでは,国家主権への制約の問題は,憲法9条によってではなく,それ(=9条)に反して,日米安全保障条約体制によって提起されている。」
    (なお,①②③は連続して書かれています。省略はしていません。)

    文章力は真に素晴らしいものの,所々少し疑問があります。
    例えば,日本がサンフランシスコ講和条約で独立した時の世界情勢は省かれています。
    ①③を対照すると,本質が見事にひっくり返されて展開されているかが分かります。

    占領下,つまり完全武装解除をさせられた統制状態下で憲法9条が出来ていることを度外視していますね。
    『先駆的な意義を持つ憲法9条2項』は,未だに他の何処の国も採用していませんよね。



樋口教授は,とても紳士な方です。

ただ,この私が,ちょっとどうかなと思うのは,失礼な言い方になりますが,ウィキペディア(後掲一覧表ご参照)をみても,結局のところ,旧ソ連共産党下の憲法や,中国共産党下の憲法や政治制度の研究はしていないかにも見受けられることです。

    「ソ連」「中国」「社会主義国」の用語は,彼を紹介したウィキ全文を検索してもまったくヒットしない。

    もちろん,多くの御著述の中には,その一部分に差し込まれているかもしれませんが,
    少なくとも正面から研究されたとおぼしき「表題」はない。

    結局,前記比較憲法の本で紹介されなかった中国等の憲法体制の本格研究はない??



冒頭のはしがきは,結局言い訳でしょうか?

安保法制反対デモに参加する中で「比較憲法の権威です」と国民に言われても,国民は困る。

一般国民からみて,この集団的自衛権や安保法制検討の中で,説得力を持つのかというと疑問です。

中国や北朝鮮の憲法の性格や分析,そして実際の政治体制や機能の仕方を研究され,
それとの比較で,大日本帝国憲法や日本国憲法を研究されてこそ,真に説得力があるように思います。

他国の安全保障は,軍隊の保持は,憲法ではどうなっているかを,国民は知りたいでしょうし,
また,「比較憲法学者という以上,このような点での各国の憲法のあり方は全部解っているんだよね,それでもなおこのような反対デモに参加しているんだよね」と国民の目には映るかもしれません。

    先生ほどの方であれば,ご自身による中国・北朝鮮,ソ連の研究ではなくとも,
    一般国民の何百倍もソ連や中国・北朝鮮の政治体制等の文献に触れる機会は多いはず。

    にもかかわらず,これらをも含めたことを国民には知らせず,
    ただこのような反対デモに参加されたのは疑問が残ります。諸外国の憲法のことは何でも知っていると思ってしまう国民にとっては,です。

    ご自分のお立場や有する莫大な影響力というものをわきまえて,少なくとも中立的な立場を貫いて欲しかった。



このように,ご自分でも,社会主義国の憲法の研究もまた必要と言っておられます。
しかしその一方で,別の機会に積極果敢になされた形跡も特にないご様子。
他の先進国にもない前記『先駆的な意義を持つ憲法9条2項』を他の先進国のほか,中国や北朝鮮に広めようとしたわけでもないようだ。
そのくせ,平和安全保障法制の反対デモにだけは参加するわけだ。

    比較憲法の対象が,米国,ドイツ,フランス,イギリス等だけだなんて・・・・。

著書

                    -byフローラ法律・岡崎 from 2013.3.24-

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