586 最高裁「通達」?:提出証拠の「差替え」による証拠撤回・回収が不可に?

近年,アンフェアな事例や過誤事例が増えているのでしょうか?
つい最近のことだとは思います,
民事訴訟等で,提出証拠等の事実上の差替え(誤記訂正等)と,既存証拠の撤回・回収等ができない取扱を徹底させるようにとの指導があったとのことです。
(俗に言うところの「通達」・・・・様は「お達し」?仮に一定の指示があったとしても,それに対する法的拘束力の有無は分かりません。)

    もしかしたら,これまでもそういう決まりはあったのかもしれませんが,
    これまでは柔軟に対応していたために,間違い等が出てきたから,本来のあるべき姿を徹底したにすぎないのかもしれません。



例えば,甲当事者が,A期日の前に,相手方乙当事者と裁判所にある書証を提出した。
ところが期日前に誤記や印刷不鮮明等に気づき,
A期日当日の書証取調直前に,
誤記等を詫びると共に,事前交付してあった書証(候補)と,誤記等を手直しした書証を交換に提出したいと申し出た。
もちろん,相手方当事者や裁判所も,これに特に異議はない。

この場合,これまでの実際の運用は,取調未了の段階であることから
そのまま許されることが多かったのではないかと思います。

ところが今回の通達による徹底方針によれば
既に提出した証拠は,関係者の同意があっても,もはや取り戻すことができないのみならず
そのまま記録に綴られたままで,訂正等した「差し替え」証拠はその次に綴られるという。
(同じ冊子のほぼ同じところに。)

ポイントとなるのは,誤記等のあった証拠を残すは残すにしても,
例えば証拠等とは別の所謂「雑綴り」という別の冊子に綴じられて,
もって本体記録と一体を成すという方法も取らない,ということだ。


差替えに伴う不正や過誤等の問題を防ぐ取扱は,結構な話で大賛成だ。
一度提出したものは返さないというのはありだと思う。
万一の時に備えて痕跡を残しておくべきだ。

    だから,同様の趣旨で,私は,よく手続の過程を記録してくれる書記官は大好きだ。
    期日を重ねると,前に言ったことが全部消えてしまうのは残念なことだ。
    (書面に残して提出すればよいのだが,法廷で起こった出来事は,記録してほしい。)
    ・・・・でも,そんな改革や運営方針の徹底はしないはず。労組の反対もあるから。

    ★注1),★注)2



ただ,そうだとしても,裁判の基礎となる証拠の冊子にそのまま綴られるというのは,少しどうかなと思われる。

実は本来の証拠の中に綴られると,担当の裁判官にとり証拠を読みづらいのだ。
前記のとおり,雑綴りに一旦退避させ,本体記録と運命を共にさせれば足りる。

ただでさえ,日々大量の事件処理に追われ
分量の多い準備書面,詳しい大量の証拠は中々目を通す時間がないご様子だ。

現に,最も大事な証拠を読んでいただけなかった残念な例もある。


私らとしては,厳格取扱に全く異議はない。

が,いずれにせよ,記録・証拠だけはよく読んで判決して欲しい,ただそれだけだ。

この取扱の徹底により,記録が膨大かつ雑然としてしまった結果
特定の裁判官において,記録を読んでいただけなくなるなら,
そんな気持ちに駆られるのであれば,大変に残念だ。
言い訳のようなことに用いられるのも不本意だ。

    私らは,裁判所そのものをどう変えるか(組織改革・人材配置や増員等),
    裁判の段取りをどう変えるか,はひとえに,
    よく記録を読んで裁判をする,より丁寧な審理をするとの目的にかなうか,
    この視点なしには語れないと思う。

    どんな制度運用の改革等であれ,結局その目的や方向と逆にの結果につながるのなら反対である。

重要な書証をよく検討しないとか,重要な証人を取り調べない等の審理不尽は,何時の時代でも問題だ。

    ★注1)あと,ついでにいえば,他方で,
    証人尋問調書だって,所謂要約調書等は全廃して,
    ビデオテープのように正確な再現の調書にしなければならないことに?
    そうした忠実再現調書には不正等の問題の入り込む余地はないものの,
    つまらない言い間違いや勘違いの尋問等々までも全部残すことに。
    こんな尋問調書を当事者も裁判所も後で点検,読むのは,大変な労力が掛かる。
    だから,法律家なら100人中ほぼ全員が無駄だと述べると思う。

    ただ最近は,尋問調書についてもこう言う流れになりつつあるのもまた事実。

    正確さを要求しすぎると,効率は酷く損なわれる。
    ・・・・高裁は,記録が厚くなるので絶対嫌がるはずだ。
      読む気が薄れたりしないか?

    ★注2)ところで,
    ①本件の差し替え問題も,
    ②手続調書を残したがらない運用も,
    ③尋問調書の逐語化も,
    裁判所書記官等の事務方の判断作業や労力をひたすら軽減して形式的業務のみを残そうというもくろみはないだろうか。

    組合的にはよいかもしれないが,法曹関係者は,仕事は煩雑になる。

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