555 矢口元最高裁長官は実は予算取りの名手だった!?

矢口元長官は,ミスター司法行政だの,泣く子も黙る・・・・だの言われました。

ただ,私が比較的中枢にいた人から聞いた話ではちょっと違う矢口像でした。

それは,とにかく財務省(元大蔵省)からの予算を取ってくるのが上手いと。

    財務省は,官庁の中の官庁・スーパー官庁にして,
    政治家をも動かす鉄壁のウルトラ軍団:
    かつその主計局の予算折衝官は,エリート中のエリートが担当し,
    予算折衝に来る他の省庁の官僚よりも格下の肩書きの係官が対応するほど。

    しかも司法試験を受かった法曹,仮にその中の優秀な者が裁判官となるとして,
    その中でも更に優秀裁判官が最高裁事務総局に入って,財務官僚とネゴするとしても,更には,憲法における司法の独立尊重を訴えても
    それで最高裁事務総局係官が尊重されるわけではない。

    財務省に入るようなエリートは,司法試験も同時に好成績で受かることは特に珍しくなく,司法試験は歯牙にもかけていない。

    裁判所は,財政関係的にはそのくらい低く見られていたということだ。
    だから未だに国家予算の1%にも満たない予算しかない。

    そんな中で,矢口は予算取りにかけては天才的だったと聞きました。
    (裁判所の中では)



矢口がした施策には,裁判官を他の行政官庁に出向させて研修をさせたりもしたし,陪審制も研究をさせるなどが第1に挙げられる。
裁判所を高嶺の花や象牙の塔にして孤立独善化させることを避けようとした。
それは結局裁判所が国民や国家の大勢から乖離してしまい,やがて必ず衰退してしまうと。

思えば,裁判官を他の省庁に出向させるなんて,
司法の独立,憲法の番人からすると,なんともまあ落ちたものだとも言われなくもない。
プライドはないのかと。

でも,裁判所は,事件が裁判所に持ち込まれて初めて動く機関
ところが,行政は国家や国民生活全般に張り巡らされている上,
予防的にどんどん施策に打って出ることができるから,事件数や情報の蓄積が全然違う。

    内閣法制局の歴代長官が,最高裁判事に天下りしているのも,その意味で首肯できる。
    年間数百本もの法案作成を審査する内閣法制局のノウハウは,最高裁にはない。

矢口は,プライドを捨てて,日本の偉大なる行政システムに胸を借りるという苦渋の決断をしたのではないか。
そうした捨て身の戦術が奏功して予算獲得に成功し,最高裁長官になったのだと思う。


最高裁判事を経ず,直接最高裁長官に抜擢された竹崎(2014年3月退官)も,
裁判員制度を全国で施行させることに成功した。
要するに,その過程で刑事裁判所組織や態勢を大きく拡充に成功,
つまり予算を大きく獲得した。


民間社長だって,大ヒット商品を生み出し会社を発展させた者がなることが多い。

国家機関の場合は,裁判所であっても,予算獲得能力を持つ者が出世するのは道理かもしれない。

    なお卑近な例ですが,
    以前は,給与とは別に,裁判官1人につき年間6万円もの書籍代が支給された時期がありましたが,これも時期的には矢口長官時代だと思います。
    裁判官が教養を広めるという趣旨でした。
    裁判所内には,資料室という名の図書館もある上に(一般書籍もある),
    各裁判官室にも,法律書を中心に書籍は五万とあるのです。

    実際6万円で法律書を買えば重複するわけ。
    他の職員にこんな手当はない
    (裁判所内の高官:調査官から嫌みを言われた経験あり。)

    むしろ,よくこんな予算が取れたな,という印象です。
    矢口さんだったからでしょうか。

                    -byフローラ法律・岡崎 from 2013.3.24-

カテゴリー:司法制度司法改革

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中