552 子どもの面会交流裁判後の強制執行(間接強制)

再び事務所に咲きました。

一般に,(民事・家事)裁判には
ア 本裁判(権利内容等の確立)
イ 執行(本裁判の内容の強制的実現)
の二段階の処理があります。それぞれ裁判所内の別組織が行います。
相手方がアに従わないとき,イを申し立てるのです。

そんな中,今回は,子どもの事件とその強制執行についてみてみます。

子どもに関する事件の中には,婚姻費用や養育費を求める裁判(家庭裁判所)があり,
その裁判(支払命令等)が確定しても支払わない時は,
裁判の申立人は,強制執行の申立てができます(地方裁判所民事執行係/同民事執行センター等・・・・執行裁判所といいます。)
給与差押え等の手段がそれです。

婚姻費用養育費の場合,相手方の給与の半分まで差押えができます。
(他の債権は4分1まで)


これに対し、同じ子どもに関し,面会交流を求める裁判の申立てはやはり家裁に致します。
そしてその裁判(面会認容)が確定したのに,相手方が会わせようとしないとき,強制執行はどうなるのか,です。
一般法理論としては,前記のとおり,裁判がなされた以上,その実現のための強制執行は本来できなければなりません。

ただ,強制執行といっても,面会のそれは,あくまで人格や人間性を持った子どもが対象であり,給与のような物質的な対象ではないので,せいぜい間接強制という手法しかとりえません(申立先は,やはり前記執行裁判所)
例えば毎月1回子どもを会わせろとの家裁の裁判があった時には,それを怠る毎に1回2万円支払えとかの申立てになります。

    面会交流裁判は普通父親から母親に対してなされることが多いでしょうが,
    10年前まではこんな強制執行申立てはなかったのですが,最近出始めております。
    とうとう最高裁判決まで出ました(平成25年3月28日)

    最高裁判決は,同日に3件の判決がなされております。
    ①ある審判結果に基づく間接強制を認めたもの
    ②ある調停結果に基づく間接強制を否定したもの
    ③ある審判結果に基づく間接強制を否定したもの

    の3例です。

曰く,
「監護親に対し非監護親が子と面会交流をすることを許さなければならないと命ずる裁判(審判/調停)において,面会交流の日時又は頻度,各回の面会交流時間の長さ,子の引渡しの方法等が具体的に定められているなど監護親がすべき給付の特定に欠けるところがないといえる場合は,上記審判に基づき監護親に対し間接強制決定をすることができる。」

このように,判断の分かれ目は,
家庭裁判所の主文等の命令がそれ自体として明確で具体性があり,その文言どおり強制して面会を行わせるに足りるかどうかです。
執行裁判所が強制執行を実現することが可能なほどに具体的な主文であるかの問題です。
強制執行とは,ただ裁判の記載内容をそのとおり実現することが仕事なので,それを達成するには,具体的で明確であることが必要になります。

    ここで,仮に,養育費の場合ならば,お金の問題にすぎないので,
    毎月○日迄に××円支払えとなっていれば,強制執行制度の要請する具体性明確性は何の問題もありません。

    これに対し,子どもの面会交流は,本来,相互の生活環境や都合調整の問題です。
    子どもの生活状況(学校やクラブ活動・受験や塾)の都合や成長や成熟の段階・度合いによっても変わってくるほか,監護する親の生活事情(勤務事情)等もあります。

    そのため,厳正に審査した家庭裁判所の裁判主文においてでさえ,
    所謂その都度子や各親の都合や状況をを反映させる条項や,
    相互の都合の調整や連絡し合って決める等の条項を定めていることが多いのです。

    要するに,金銭支払命令とは異なり,審判の主文や調停条項だけを読んでも,
    具体的に何時何処でどういう風に面会を実現するべきなのか,執行裁判所が判断できない場合がある。

    この場合は,厳正な裁判結果であってもなお,強制執行まではできない。



【※説例問題】
かつての経験や最高裁判決を基にこんな例を考えてみます。

例えば,家庭裁判所が審判の主文で,
「面会の実施については,父親が3週間前に,面会の候補日時間(3時間まで)を複数挙げて母親に通知し,母親は子ども達の各都合や母親の都合を調整して,これを決する」と定めたとします。
にもかかわらず,父親は,自分が会いたい日の2日前に突然Eメールを寄越し「明後日の土曜日午後1時から4時まで会わせろ」と言ってきたとします。
それで,母親が会わせられなかったという事例。

これって,家庭裁判所の審判の主文につき,面会日や面会の方法等が具体的に定められているとはいえないように思います。

そもそも父親は,審判で書かれた「父親が3週間前に,面会の候補日と時間(3時間まで)を複数挙げて,母親に通知し」に明確に違反しています。

こんな突然の要求に会わせなかったからといって,裁判の命令違反になるのでしょうか。
それで強制執行って,一体どうでしょうか。

    前から繰り返し述べているように,実際に以下の父親が居ました。
    婚姻費用養育費を数か月も払わないでおいて,
    後から反対抗弁を提出し,「(先に)子どもに会わせろ」と言ってはばからない方。
    これで子どもの福祉を実現する親とよく言うねぇ。

    もちろん,それでも,面会交流に関する家庭裁判所の主文が強制執行に耐えうる具体性明確性がある限り,結局間接強制は認められてしまうこともあるかもしれません。

    しかし,もし面会交流の強制執行を申し立てるほど子どもの福祉を考えている方???なのに,他方でその前提として婚姻費用・養育費も長いこと払わないというなら,その面会交流や強制執行申立ては,子どものためではなく,何か別の目的を持っているといえるのかもよ。
    母親は,既存の審判を覆すべく,子どもを会わせたくないとの再度の審判を家庭裁判所に求めた方がよいかもしれません。

    そして何より,面会させなかったペナルティーを仮に科すとしても,その金額は著しく低いものでよいのではないか?

                    -byフローラ法律・岡崎 from 2013.3.24-

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