544 執行猶予終了後の犯罪に対する執行猶予は?

刑事裁判で禁錮刑や懲役の刑について執行猶予が付される例は,
要するに,初犯の場合です。
(初めての公判請求の場合)

執行猶予が付されるのは,以前に禁錮以上の刑に処せられたことのない者であるのが原則だからです(刑法25条1項[前の罪が罰金ならばOK])。

    >第25条
    次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは,情状により,裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間,その執行を猶予することができる。
     1 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者



ところで,もしその執行猶予中に罪を犯して裁判になると,
執行猶予が取り消され,前の懲役刑等とともに新しい罪の刑との両方で刑務所に行きます。

    だから,実は執行猶予は怖いことです。
    許されたと勘違いして油断すると,大変な目に遭うし,
    実際そう言う例は残念ながら多いのです。

    執行猶予を得た時ほど,むしろ一層気をつけなければなりません。



では,執行猶予期間中は十分に気をつけたとします。
ただ,執行猶予の期間を満了後,まもなく再度罪を犯して刑事裁判にかけられた場合はどうか(注1)。

刑法27条によれば
「刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予の期間を経過したときは,刑の言渡しは,効力を失う。
とされています。
この場合,「刑の言渡しは,効力を失う。」という意味は何でしょうか。

この意味は,執行猶予との関係では,刑の言渡しが失効するのですから,
前記刑法25条「前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者」に該当することになります。

すると執行猶予を付す前提条件としては,振出しに戻る?ことになるかのようです。



ただ,この「刑の言渡しは,効力を失う。」は,過去に遡って生じるのではないようです。
(最判昭和45年9月29日)

つまり,前科が初めからまったくなかったことになるのではないということです。
前科は前科として残るのでして,執行猶予満了後の犯罪は,やはり二度目の罪ということになります。

従いまして,例えば,以下のいずれかに該当する方は問題ありとされます。
すなわち,最初の執行猶予の付いた罪とで比較して,
①今回の罪が同種であり,
②罪を犯すに至った経緯事情も同様,
③むしろ罪の質も格上げされている
となると,この人は反省がなく性懲りも無いということになって,
改めて執行猶予が付されることは難しいでしょう(注2)。
このような方は将来再度罪を犯すのではないかと疑われてしまいます。



しかし他方で,前回の罪と比較して,
ア 今回の罪の動機や理由が全く異なる,
イ 背景事情も全然違う場合,特に今回の罪を犯すまで本人の頑張りや努力がある
ウ 罪の内容はむしろ縮小している
等の事情がある時には(注2),
捜査官(警察官及び検察官),そして公判の裁判官のそれぞれに対し,積極的に主張するべきです。

    注)なお,執行猶予満了後5年以上経過してからの再犯であれば,
    満了後まもなくの例よりは執行猶予が付きやすいことはあり得ますが
    (25条1項2号類推),
    ①②③(特に③)の事情が有るときは,やはり安心はできないでしょう。

    注2)前記①②③,アイウ,注1)いずれの例についても,
    例えば本来の罪の性格がそもそも重大な害悪をもたらす場合は,
    仮に初回は幸いにも執行猶予が認められていても,
    期間満了後の再犯につき改めて執行猶予が認められることは期待できないでしょう。

    そのような重大犯罪は元々初回から実刑になることが多い罪だからです。

                    -byフローラ法律・岡崎 from 2013.3.24-

カテゴリー:刑事問題弁護士

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