538 家事調停委員への不満ではないけれど

調停委員の方は,法律の専門家ではないにもかかわらず,
当事者双方から丁寧に意見を聴いて,調停を進めます。

    20年以上も前私が研修中のころは,
    まだ男性調停委員は頭の固い古い気質の人もおり,
    必ず妻の方に我慢しなさいと要請される方もいました。
    (ただ,時代は今より遙かに牧歌的でした。)

    昔は,むしろ女性の調停委員の方が,しっかりしているな,
    という印象を持ったものです。
    家事の問題はやはり女性の方が優れているのか?と
    当時ばくぜんと思いました。



最近は,国民の権利意識が高くなり
(それは良いものと,必ずしもそうでないものの両方があります。)
調停委員さんに対する苦情も多くなっているとのことです。

特に名古屋等の大都市の裁判所では,事件数も半端でないため
(名古屋の裁判所は管内人口300万人を超え,
私の記憶では調停申立て件数も年6000件はあったかと思います。)
いつも家事の首席書記官が苦情対応に追われていたそうです。

ただ,苦情の分,大都市は調停委員が鍛えられるのですが,
田舎は未だに苦情が少ないため,それもまた少ないかもしれません。


弁護士になってからの印象は,田舎の裁判所に関してですが,
調停委員は,当事者双方から対等平等に話を聴きすぎて,
むしろ繁みに迷い込んで困っていらっしゃる。

先も言いましたように,やはり時代と共に住民の権利意識が強まり,
一定数ですが,極めて自分本位方も出てくるわけ。

    手口も巧妙化したり,モラル・ハラスメントをする方も出てきたり。
    自ら不倫して配偶者を泣かせるだけでなく,お金の面でもやたらと執着心の強い,
    我が儘極まりない人も出てきているわけ。



私が裁判所にいたころ,大阪高裁でも勤務経験のある有能な裁判官は
調停委員との事件カンファレンスでよく言っていました,
「申立人・相手方のどちらに離婚原因があるかを見極めてから相談に来い!」と。

私が弁護士になって,調停委員とやりとりすると,やはり同じ印象を受けました。
1件や2件ではないです。
不貞の有責配偶者と家庭を護ってきたその配偶者とで,
双方を平等・対等に話を聴いたらおかしなことになります。

調停委員は丁寧に双方から話を聞こうとされるので,
逆に有責配偶者の意見,いわば落とし穴にまんまとはまってしまうわけ。

    余り良い喩えは見つからないのですが,
    交通事故事件で,交差点手前で信号停止中の車に追突した事故の場合,
    追突者が悪いに決まっているわけで,両方は対等に扱えません。

    刑事事件で窃盗犯人と窃盗被害者は対等ではありません。

    えん罪は別として,ビデオテープ等の証拠がある場合で結構ですが,
    窃盗犯人の意見を聴くときには,弁解を聴くと言います。
    (検察調書でも「弁解録取書」と表記されています。)。
    被害者と対等平等を前提とした言葉・「主張」などとは普通言いません。

よく「盗人にも三分の理」と言いますが,有責配偶者も一緒です。
どんな人でも何かしらの言い分はあるわけで,ただだからといって,
言いたい放題にさせると,まさに本末転倒になりかねません。


一生懸命にやっておられる調停委員さんへの苦情ではないです。

ただ,一方当事者の有責性が明白な証拠によって裏付けられている場合にまで,
当事者双方を平等対等に扱うのは余りにもおかしいし,
調停員さんにとっても,迷いの道に入り込んでしまう危険があるのです。

双方から意見をしっかり聴こうとされる態度は貴重ですし立派です。
しかし全ての事件が当事者が平等対等であるとは限らない。

このことは,機会を捉えて(毎回)釘を刺したいところです。

                    -byフローラ法律・岡崎 from 2013.3.24-

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