486 マタハラ最高裁判決 その例外とは

最高裁判所平成26年10月23日判決です。

最高裁は,原則と例外に分けた判断枠組を示し,
かつ例外の判断基準を示しています。

ただざっと読むときは,素晴らしいが
よく読むと,明快に見えるその判断基準も実は分かりにくい。

それで整理してみました。


原則:均等法9条3項のとおり
女性労働者につき妊娠中の軽易業務への転換を契機として降格させる事業主の措置は,原則として均等法9条3項禁止する取扱いに当たる(均等法10条,平成18年厚生労働省告示第614号第4の3(2)参照)。

例外:
【その1】

妊娠に伴う仕事転換・降格措置により受ける,
①有利な影響及び不利な影響の内容や程度,
②上記措置に係る事業主による説明の内容その他の経緯,
③当該妊娠労働者の意向等
に照らして,その自由な意思に基づいて降格を承諾したといえる合理的な事情があるとき

    《妊娠労働者の承諾における合理的理由の審査》
    同承諾に合理的理由があるというためには,
    ①前記有利・不利な影響の内容程度に関し降格措置の前後における職務内容の実質,業務上の負担の内容程度,労働条件の内容等の検討が必要不可欠となる。
    ②そうした検討結果を前提としつつ,当該労働者が上記措置による影響につき事業主から適切な説明を受けて十分に理解した上でその諾否を決定し得たか。



【例外その2】
法の趣旨目的に実質的に反しない特段の事情の存在:
①事業主が上記降格の措置なしに軽易業務転換をさせることに円滑な業務運営や人員の適正配置の確保などに支障が出る業務上の必要がある場合で,かつ
②同必要の内容程度が上記の有利・不利の内容程度を凌駕・優越する場合等

    《特段の事情の審査》
    ア 業務上の必要性の有無及び内容程度の評価
    ①妊娠労働者の転換後の業務の性質や内容,
    ②転換後の職場の組織や業務態勢及び人員配置の状況,
    ③当該労働者の知識や経験等を勘案する。
    イ 仕事転換及び降格措置について,有利・不利の内容程度の評価
    同措置の経緯や当該労働者の意向等をも勘案する必要がある。



以上によれば,例外2が認められる場合は希有だと思われます。
どんなに肉体的精神的にハードな仕事であれ,
妊娠出産が終えた段階で,気力体力の態勢は元に戻るわけで,
にもかかわらず,妊娠出産を機に降格等をしなければならない業務上の必要性等は考えにくいからです。


辛うじてあり得るのは,例外1の場合で,
例えば,妊娠までは長年仕事一筋にばりばり生きてきて役職も得たが
妊娠を機会に突如子どもへの深い愛情に目覚め,
役職や出世を捨てても,給与の減額等になってもなお,子どもとの時間を多く取りたい。

つまりは仕事よりも子どものことが遙かに大事だとして,そのような生き方を自ら積極的に選択した場合等がそれでしょうか。
しかも誰にも乞われず純粋に自発的な発案で会社の人事担当者等の許に赴き,その考えや人生方針を公言した場合等です。

    もっとも,これだけ技術革新や機械化・IT化も進んだ今では,
    子どもを取るか仕事を取るか,のるかそるかの
    二律背反の場面は想定できないので,
    後者の事例(そうした人生選択を決断しなければならない例)も実際はほとんどないと思います。

    しかも最高裁は,本人の単なる思い込み等ではだめで,
    本人が客観的な状況をきちんと理解して降格を承認した場合でなければならないとしていますので,その意味でもそうした事態は希ということになりましょう。



参考文献:
平成18年厚労省告示第614号

                    -byフローラ法律・岡崎 from 2013.3.24-

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