481 裁判官はクローズアップ現代がお好き?

裁判官はクローズアップ現代がお好き,
否,(かつては)好きだった,というべきかもしれません。

    実は,裁判官は,正直テレビは見る余裕があまりありません。
    仕事は忙しく,夜も(家に持ち帰るなどして)仕事しているからです。

    民事事件の裁判官であれば,常時200~250件の事件を担任しています。
    月に約50件の新件が来るので,少なくともその程度は毎月完了させなければならない。
    中でもしっかりと理由を記載するような判決書についても,月に7,8本程度仕上げなければならない。

そういった忙しい裁判官が見る番組としては,
例えば「クローズアップ現代」になりやすいと思います。
番組の時間がちょうど食事時に差し掛かることもあって,都合が良いのです。
(それを見た後,再び仕事をする)

加えて,国谷キャスターの洗練されたイメージと知性,
新しい社会的な話題を即座に取り上げるところ,
そしてワントピックだけを30分国谷キャスターが掘り下げまくるというスタイル
も受けたと思います。

だらだらニュース番組をいくつも見る時間がありませんから,そういう特集的な番組は助かるわけです。


しかし,今回の放送法違反となると,どうでしょうか?

しかも,NHKはこのところ,ジャパンデビューの問題,
(これも放送法に引っかからないとも限らない話です。)
放送受信料の徴収のあり方・徴収員の態度振る舞い等,
今ではNHKに対する信頼が社会的にゆらぎつつあります。


ここで大事なことですが,
放送法が表現の自由の制約だとするのは間違いです。

放送法は,東大の著明な憲法学者芦部先生が関与してできあがりました。
芦部先生は米国流の憲法解釈や判例理論を日本に紹介した第一人者です。
表現の自由の優越的地位をしっかりと世に広められた先駆者です。

芦部先生は,全ての法律実務家が尊敬する先生と言っても過言ではありません。

    芦部先生は,かつて司法試験委員にもなられました。
    司法試験委員の先生の教科書や論文の類に目を通すのは受験生の流儀です。

    従いまして,芦部先生の論文や法律雑誌に寄稿された論文,セミナー書の類まで大いに売れまくりました。
    東大まで行って,芦部先生の講義速記録を買いに行く人も多くいました。

    そして,芦部先生が,大学生のセミナー向けに書かれた法学教室の説例問題にも
    「放送法と表現の自由」の問題が出されておりますし,
    かつそのセミナー本は,司法試験の憲法の副読本として必須とされていました。
    従って,少なくとも従前の合格者の大半は,この論点を熟知しています。

ですから,裁判官で,重大な放送法違反をしでかしたNHKとの関連で,
そもそも表現の自由を侵害する法律だ,などと考える人はいないと思います。

むしろかくも重大な違反をしたNHKは,裁判官の間でも評判を落とすと思われます。

クローズアップ現代を見る裁判官も減るかもしれません。

    実は,最近の裁判官は,家で仕事せず裁判所に残って仕事する人が増えました。
    昔は,家に持ち帰るのが当たり前でしたが。
    土日も役所に出てきて仕事するのです。

    そうなると,午後7時半には家にいないので,クローズアップ現代は見なくなっているかもしれません。

    クローズアップ現代を見る理由もなくなったから一層居残って仕事する人も増える?

かつては,百歩譲ってNHKは,法律家から見て権威があったかもしれません。
しかし放送法違反では権威や信頼は完全に失墜します。

少なくとも芦部先生の権威を超えて,信頼を得ることはありません。

                    -byフローラ法律・岡崎 from 2013.3.24-

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中