477 学校 サッカーボール事故 最高裁判決平成27年4月9日

小学生がゴールに向けての蹴ったサッカーボールが,
学校の敷地を越えて公道を走るバイクを転倒させた事故で
親の責任は,という事案で,最高裁は平成27年4月9日,親の監督責任を否定しました。


親の監督責任とは,民法714条が規定しています。
第714条
①前2条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において,その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は,その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし,監督義務者がその義務を怠らなかったとき,又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは,この限りでない。
②監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も,前項の責任を負う。

    参考:
    第712条
    未成年者は,他人に損害を加えた場合において,自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは,その行為について賠償の責任を負わない。
    第713条
    精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は,その賠償の責任を負わない。ただし,故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは,この限りでない。

未成年者が不法行為責任を負わない712条の場合に関しては,
未成年者を養育監護する親等が,代わりに責任を負担するということです。

    そして,714条②項-713条の例は,
    例えば,認知症の老親が他人や他人の物に対し危害等を加えたときには,老親の介護をする責任者はやはり代わりに責任を負うということです。



いずれにせよ,714条①項のただし書きが問題になります。
ただし,監督義務者がその義務を怠らなかったとき,又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは,この限りでない。

ただ,問題なのは,これまでほとんど親等の免責を認めなかったのではないかと言われていること。

そう言われているのには理由があります。
第1に,714条①項のただし書きの規定は立証責任の転換がはかられていること。
つまり,監督責任者たる親等が自らの監督上の過失がかったことを立証しなければならずハードルが高いこと
第2に,損害賠償事件の特殊性
被害者と加害者側(この場合親等)とどらちの利益を保護するかという利益考量では,やはり被害者を救おうとすることになびきやすいこと。

    被害者からするとまさに踏んだり蹴ったりのため,救済する必要が高いとされやすく,
    そうした中では,子どもの親等は,実際問題として,相対的に低く見られやすかったこと



しかし,上記判決が画期的なものかというと,決してそうではないと思います。
マスコミが騒ぐほどのことは全然ないと思います。

第1に,最高裁判所判決昭和58年2月24日では,監督義務者の責任を否定した例があること
714条①ただし書きがある以上,親の責任等を否定する例が出ることは元々想定はできること。
第2に,本件の場合,小学生の子どもは,ゴールに向けてボールを蹴っただけで,そんな子どもに過失があったのか,そもそも709条の不法行為が成立したのかもそもそも問題になること,
(前記712条によって責任を子どもに問えない場合ではないこと-そもそも709条の過失がないとも言える)
第3に,むしろ学校の不法行為責任ではないかといえること
第4に,子どもの行為自体はあくまでも学校内での出来事,学校の支配領域内で起こった案件であり,親がそもそも管理監督を及ぼしにくいこと
(事故の結果は公道上だが)

以上によれば,最高裁の判断が,画期的ということはないと思います。

しかも,最高裁判決平成27年4月9日は小法廷の判決です。
法令の解釈変更や判例変更を伴う場合には大法廷で判決がされます。

だから,著明アナウンサーが言っていた
「民法の教科書を書き替えるくらい大きな判決」ということはなさそうです。

                    -byフローラ法律・岡崎 from 2013.3.24-

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中