464 大阪都構想と「区」概念の二義牲 そしてその優劣

橋下市長,松井知事による大阪都構想。

もとよりその政策は,賛否両論があるが,
この政治運動により,大事なことを市民・国民に気づかせてくれたと思う。

それは,日本における「区」の概念の二義性,つまり2つの意味を持っていること
そのために国民市民は何かと勘違いしやすくなっていることだ。勘違いさせられやすいのだ。

もっと言えば,地方自治の本質は,あくまでも住民の意思を直接反映させることであって,
選挙を経ない公務員の権限拡張は本来望んではいないことだ。

    ところで,法律は,同じ用語は同じ1つの意味を指すとするのが,本来的であるとされている。
    というのも,お役人から,場面場面で,同じ言葉を別の意味に使い分けられたら,
    法律的結果につき利害関係のある国民市民は,混乱してしまうから。

    同じ法律用語なのに,この場面ではAの意味,別の場面ではBの意味だとすると,国民市民は酷く困惑する。



日本では,「区」の概念は,全く異なる2通りの意味で用いられてきた。
つまり,
①政令指定都市の区と,
②地方自治体としての区
の2つ。

    ①は,単なる行政区割りとしての「区」
    地域を行政法的に線引きしたものにすぎない。
    地方の政令指定都市の区がそれ,である。
    この場合の区には,区長は市の職員たる公務員がなり,
    行政の都合,もっと言えば,市役所の組織の都合や労組の意向に従って選任される。
    区長の選挙がないのはもちろん,区議会がないからその議員の選挙もない。
    住民の意向は反映されない(制限される)。

    ②は,東京都23区,そして大阪都構想の区がそれ。
    各区が独立した地方自治体であり,要は,区長や区議会員を選挙で選べるし,区政に区民としての意見を反映できる。



法律の規定から見る限り,元々,区の本来の用語法は,①の方だったかもしれない。
むしろ②の東京都23区の区の使い方の方が特殊かもしれません。

ただ,国民市民の抱く感覚はむしろ逆ではないか。
東京23区である②の方が素敵で,政令指定都市として①の行政区を持つことが都会の象徴なのだと。
東京都のような区の呼び名を持つことで,都会性やハイセンス,洗練をイメージするのだと思う。


ところが,①の区については,実際は,前記説明のとおり,住民の参加が増えるのではなく,むしろ1つのお役所組織が肥大化して,かつ公務員のポストが増えるだけだったり,1つのお役所の中枢部にいる公務員の権限が強くなるだけだと思う。
②とは違い,住民の選挙を通しての意思の反映という民主主義はむしろ遠のいている。

    こう説明したらよいかもしれない。

    地方の政令指定都市は,実は,ある中核都市が自分の住民だけでは人口要件を満たさないので,周辺の市町村という独立した地方自治体をのみ込み合併して,やっと人口要件を満たす例が多い。

    この合併劇では,周辺自治体は消滅させられ,単なる①の1行政区に成り下がるのだ。
    今までは独立した市町村として,住民選挙が行われていたものが廃止され,
    住民の人事コントロールを受けない単なる公務員がその区長として配置されるわけ。
    単なる1公務員が,である。

    しかもこの場合,結局以後も存続する中核都市の公務員が,合併前の町長に成り代わり,新しい区に君臨してふんぞり返るわけだ。

    とりわけ問題なのは,選挙で選ばれた旧町長とは異なり,新区長は公務員だから責任は絶対に問われないで済むわけだ。



もとより都構想に反対か賛成かは,住民投票に委ねるしかない。

しかし,都構想批判の前に,まず理解すべきことは,
第一に,住民の意思の反映という点で,大阪都構想の区は東京23区の区と同じだから,政令指定都市の区の観念よりも格式は上であること。

第二に,政令指定都市を作る過程において,従来の自治体の喪失が多発していること,
つまり併合される従来の市町村の首長や議会がなくなり,地域住民の意思を反映する機会がなくなること。
そしてそれはとりも直さず,中核都市の公務員にとって,権限やポストが増える結果になること(公務員が住民自治の喪失の裏で利するともいえること)。

以上の構造や仕組みくらいは,せめて理解しておくべきではないか。
・・・・町長に成り代わり公務員区長が君臨する姿は,雨傘革命,
つまり香港の選挙が中共政府の指名した役人を選ぶだけの選挙であることを連想するとよいかも。

    なるほど,大阪都構想では大阪市は解体する。

    だが,それは,従来やられてきた政令指定都市発生の過程で,周辺自治体が消滅させられ,民主主義の通りが悪くなったことのちょうど逆向きの流れにすぎない。
    大阪都構想の方向性と,政令指定都市化の流れとは,ちょうど真反対,
    つまり長所と短所がそれぞれ正反対に発生するだけだ。

    だから,大阪市が解体することのみを強調するのは,片面的に過ぎる。

    むしろ,大阪都構想により,住民自治が復活・復権するとみることもできるのだ。
    政令指定都市化の中で,周辺自治体の住民自治がなくなるのと正反対に,だ。

                    -byフローラ法律・岡崎 from 2013.3.24-

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中