435 裁判所に速記官がいなくなった

裁判所にはかつて平成8年ころまで,速記官制度がありました。
速記官研修所という速記官養成システムを最高裁が自前で持っていたのです。

ところが時代の流れなのか,同年ころ,
最高裁が突然今後将来の採用及び養成を打ち切ると宣言されました。


私は速記の方は結構好きでした。

    裁判所に入ったときは最初刑事裁判から始まったこともあったかもしれません。
    刑事裁判は厳粛な雰囲気の中で行われるところがあるので,
    速記官が付いてしっかりと証人尋問を記録して戴けるのは,やはり有り難かったです。

    速記官は,18歳から採用されていたのですが,
    高給取りだったため,地方のとりわけピカイチ優秀な方が志望して入ってくるので,
    ミスなんて見つけたことがありませんでした。
    福井県出身の女の子の速記官は,30年選手よりも優秀だったくらいです。



ただ,どんなに優秀でも,「驕れる者は久しからず」?なのでしょうか。
下々の職員は口々にそういう言い振りでした。

速記官の労働組合が,ほかの職員らからすると苛烈な運動をしていた?嫌いがあるのです。
個々人はいい人ばかりでしたよ。私は,個人的にもよく結構一緒に飲みました。

速記の組合の統一方針がなんと,
「裁判に立ち会うのは週に2時間(1回1時間まで)」だったのです。

    速記した記号のようなもの?を文字起こしをして,完成品としての裁判調書にするのには,
    1時間の裁判立ち会いに対して8時間かかるという計算だったようです。

    ただそれでも,週わずか18時間の仕事!?



速記官は,タイピストと一緒で,指が命ですし,
裁判立ち会いは本当に緊張すため,そのような運動方針になったというわけです。

実は,「金持ちお父さん,貧乏お父さん」の著者ロバート・キヨサキが言っていたのですが,労働組合は,専門性が高いほど先鋭化すると。

つまりその職を離れると潰しがきかない職種ほど,先鋭化するというわけです。

日本でも日教組の活動が苛烈であるわけですね。


裁判所の速記官さんは,私は遭遇したことはないのですが,
噂によると,裁判が長引いた時,
速記官は自分の持ち時間の1時間が過ぎると,途中で勝手に帰ってしまうというのでした。

    例えば午前11時から速記に入ったが,
    裁判が長引いて12時15分まで掛かってしまったとします。
    するとそれでも12時きっかりで勝手に帰ってしまうという噂だと思います。

噂なので本当かどうかは分かりません。
私の経験では,その場合でも予備の速記官が15分だけ入りました,例外なく。
午前10時からの2時間枠の裁判の場合,
例えばA速記官が一時間目,B速記官が2時間目の予定で,
裁判が予定をオーバーして12時15分までかかったとき,
一旦部屋に帰ったA速記官が12時には戻ってきて再登板していました。

ですから,噂は,私には信じられない。
少なくともそれが一般的では全然なかった。
(前記組合方針はあくまでもガイドラインにすぎない?)。

    そもそもどこの組織だって,少しは変な人達は必ずいますよ。
    つまりそれを殊更にあげつらって問題視するかどうかは,事情次第では?



ただ,噂はともかく,
週にせいぜい多くても4時間程度?の立ち会いというのはあんまりではないかと,
他の職員が怒り出したようです。
文字起こしをMAXで加味しても,まだ最大36時間程度ではないかと。

私が裁判所に入った時には,既にワープロが裁判所全員に用意されていましたから,
他の職員はそれこそ,1日8時間ちかく,残業を入れると優に週40時間程度はワープロのキーを叩いていたからです。
にもかかわらず,その我々より給与はなぜ高いのだと

    公務員は,どんなにヒラでも,民間からみれば極めて特権階級。
    なのに,何をセコいことを,と思われなくもないですが
    (しかも例えば,ぼんくら医師と優秀な看護婦で比較しても,ぼんくら医師の方が給与は高い)
    やはりこの種のことは妬みや文句が出るようです。



いずれにせよ,結局速記官養成はなくなりました。

個人的な見解を言えば,実は,
速記官組合の問題点は決定打にはらないように思います。
公務員って,は多かれ少なかれそういうところがあるから。

私は,予算の関係だと思います。
最高裁が持つ予算の効率配分のために,速記官養成制度をなくしたと見るのが正解だと思います。
(最高裁が,職員間の仲間割れを容認もしくは助長したという事実はないと思われる。)

                    -byフローラ法律・岡崎 from 2013.3.24-

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