432 モラル・ハザードvs.モラル・ハラスメント

おそらく多くの方が特に疑問もなく,尤もだとして聞き流しているのが,
モラルハザードという言葉です。

「そりゃ,借りたお金は返さなければいかんわな」
それは当然です。

ただ,私は,悪い法律家なのか,それでもよく分からない。



もし借りた側が返さないのがモラルハザードなら,
貸す側が,でたらめな金利を取ってきたのは何なのか。

    モラルと仰いますが利子や遅れた時のペナルティが厳しいことです。
    元金を返さない・返せないのではなく,利子・遅延損害金で倒れることも山ほどある。
    はなから考え方のおかしい,そこまで倫理観の欠如があったか,ということです。

サラ金ヤミ金を問わず,日本はでたらめだった。
最高裁の著明な判決の後なおも,貸金業法を作って,法外な金利を取り続けた。
これはモラルハザードと言わないのは何故なのか。

    テレビのコマーシャルで,自動サラ金貸付機を紹介して,
    「ヤリヤリクイクイ,ヤリクイクイ」
    「お自動さん」
    とかをやりまくったのは,モラルハザードとは言わないのか。



借りたお金を返さないという風潮がモラルハザードだ言われれば,それ自体について反論は誰しもできません。

ただ,実は日本の自殺は年間3万人もいます。
そしてなんと,その原因の一位二位のどちらかは必ず「借金を苦にして」です。
(しかも3万人に到達した時は,デフレ期の消費増税の時だと言います。)

この統計の意味するところは,以下の2つです。
①実際に言われるようなモラルハザードは起きているのか
ここまで死を選ぶ人が多いのに。

    むしろ,判例タイムズという法律雑誌に載せられた論文では,
    破産を選択する人は,かなりその申立てが遅れる傾向にあるという。
    誰だって,何とか返済したいし,仕事であればそのまま続けたいと思うのだ。

②また死を選ばなきゃならない程の過酷な状態にあった人が,家族のためにも,それから脱しようとする試みが何故モラルハザードなのか。

    もちろん詐欺破産等であれば,刑事罰を科されますし,
    この場合借金は免責されません。

    また一度破産した人は7年間は新しい免責は受けられません。

    そもそも破産法は,上記のほか浪費等について免責不許可を定めています。
    しかも実は,破産裁判所のチェックは,実務の運用上本当に厳しいものです。
    モラルハザードを堂々としつつ裁判所のチェックをかいくぐることはできません。
    (モラルハザードを言う人は,裁判所がこれを公然と許していると言いたいのでしょうか)

    各種貸金団体等は,ブラックリストを作成し,5年程度破産者等を排除します。
    情報共有ファイルのように,皆で個人情報を交換し合っています。
    ブラックリストに載った人が再度商売をするのは容易ではありません。
    このように,ペナルティーがあって,再起は難しくされている。
    これでもなおモラルハザードが発生しまくる事態があるのか。



このように,モラルハザードという言葉を使う人の気持ちは理解しますが,よく考えると実は分からないことだらけです。

モラルハザードと言うなら,貸す側もそれはきちんと倫理観を持たないといけません。
また法律を離れてモラルを言うのは本来フェアではありません。


これまで繰り返し投稿したモラル・ハラスメントは,
夫婦間で,一方が他方を支配し,隷属化させるもので,だから問題視されているのです。

貸金は,その比ではないことは,人類何千年の歴史が証明するところです。
貸金は,究極のモラル・ハラスメントになる危険をも秘めているわけです。

    銀行さんとかや公の金融機関等なら結構です。

    ただ貸金業は伝統的に悪と結びつきやすいのです。
    現在でもヤミ金はありますし,
    あくどい人の中にやはり金を貸し付けて,それで悪に引き込む例が現にあります。

    貸金は人を支配する格好の道具なのです。
    (ちょうど夫が妻を支配する道具がお金だというのと一緒です。)
    もちろん人を支配するためなら破産なんぞ許すはずがないわけです。



なお,破産の免責制度は,米国製のものですが,
この制度は,思想的には,大リーグのフリーエージェント制度と同じ趣旨のものです。
(7年も経ったのだから,主人の拘束を離れて)自由を回復させるという意味です。

    モラル・ハラスメントの夫は,妻の自由を尊重することとは対極の態度振舞いのヤカラです。

    モラルハザードという言葉をただお題目のように言う方の場合,高金利・遅延損害金を含む貸金問題が自殺者を増やすなどモラルハラスメントになりうることを理解しない方かもしれません。

                    -byフローラ法律・岡崎 from 2013.3.24-

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