418 調査官による被害者調査は慎重に(少年事件の基本「罪を憎んで人を憎まず」 )

川崎中事件等は,大人扱いの事件ですからむしろ少年事件と思わないでください
一般の少年事件は,むしろ「罪を憎んで人を憎まず」です。

何年か前の少年法の改正の際,
実は調査官による被害者調査というものが導入されました。


少年事件も,最近も,ここ20年間も凶悪事犯も現にありますし,
社会的な秩序を維持するということは重要ですから,
犯人が仮に年端もいかない少年であってなお,
被害者の意向をもきちんと酌み取ることが必要な場合も当然あります。

    例えば,光市母子殺人事件は,本当に世の人々を悲しませ,憤らせました。
    橋下市長は,それに付いたおかしな弁護をする弁護人を懲戒請求しろと唆したとして物議を醸しました。
    結局遺族の強い被害感情と悲しみが最高裁を動かしたという事案です。

    この事案自体は,犯人が既に18歳で,大人の裁判になりましたので,被害者調査が実施されたか分かりません。

    いずれにせよ,被害者の意見をしっかりと酌み取ることが必要な例は一定数はあるわけです。

実際,被害者調査制度のできる前,
調査官の対応のあり方が大変に問題視されることがありました。
少年法改正に実質的な影響を与えたのではないかと言われていると思います。

    例えば連続放火犯という極めて重大な犯罪であり,
    かつそうした重大な犯罪の場合,
    少年の精神に大きな問題を抱えていることは十分予定されるのに,
    調査官が平気で保護観察相当の意見を付したりして問題になったりしていたのです。

    要するに,調査官という人種は,かつて,ですが,
    被害者をそっちのけで,少年の保護ばかり強調する風潮がまん延しているのではないかと指摘する向きがあったのです。



ただ,本来,裁判の本質は,被害者・加害者の紛争や事件を当事者から取り上げ,
いわば代理解決を図るものです。
直接やっつけるなら,ただのリンチです。裁判ではもはやありません。

被害者調査は,要は,重大事犯等であるにもかかわらず,
被害者をただ遠ざけすぎた,埒外に置いたとの反省からでているのでして,
ありとあらゆる事件につき,その被害者の生々しい感情をそのまま具体的な処遇の形に造形するのがよいのではないのです。
そんなのは裁判ではないです。

もちろん,こうした理屈は良識ある調査官は理解しています。
実際この制度導入の際は,
被害者の生の激しい意見に屈して少年の保護育成を阻害しないように注意しましょうという調査官の意見が相当強かった。

    実は,私は,まさにその調査官研修にオブザーバーで参加したので知っているのです。



誤解しないで欲しいのは,
少年事件は,前に掲げたような世を騒がす事件ばかりではないことだ。
その例は,数では圧倒的に少ない。
少年しかしない犯罪非行の類も多くある。

数の上でいえば,非行の多くは,通過儀礼というか若気の至りというか,思春期特有のというか,大人になってからはしないなというものも結構あるわけ。

仮に,その非行そのものは,一応重要なものでも,前記凶悪犯等を除き,
罪を憎んで人を憎まずの精神で対応しなければならないものも相当に多い。
その罪を犯すに至った事情,背景,生育歴等や成長過程等を見とどけて対応しなければならない。

それなしに,犯罪の結果だけを見て,悪いやつと決めつけるとすれば,それは「罪を犯した人をただひたすら憎んでいる」でしかない。
その人の意見に従えば,100人の少年100人とも少年院しかないわけ。

喩え方は悪いかもしれないが,
例えば労働者が過ちを犯したら早速解雇だ,では,労働者はたまらない。
生活ができなくなる。

少年だってそうだ。大人とは違うのだ。大人のミニチュア版ではないのだ。


被害者調査の問題点は,
こうした理想等には何らの理解もへったくれもない,というか想像することだにできない立場にいるところの被害者の生々しい意見が出た場合にどうするのか,ということだ。

    私は,以前,中学校の担任が少年を高く評価してくれたという中学校照会を見ないまま,一本調子の意見で固めた調査官について触れた。
    初犯で一発少年院送りがショックだっただけでなく,
    先生も高く評価した少年の良い面や親族との絆等を完全に度外視した一方的に決めつけた内容だった。
    多角的検討のない(自己批判的な検証等もない),一本調子の調査票の書きぶりが鼻についた。

    実は,その調査票には,被害者に意見を書面照会したものが,添付されていた。
    それには,本当にどぎついことばかりがならべられていた。
    被害弁償及び謝罪を申し出た時,「もう二度としないように注意していただければ結構なので,謝罪なんていいですよ」と言ったにもかかわらず。

    これほどまでに陰でくそみそに言うとは,本当にショックでした。

    若い(青い)調査官は,被害者の感情をストレートに受け止めたのだと思います。

最初に述べたとおり,非行内容や被害内容,その程度等にもよりますが,
苛烈な意見の場合には,書面照会のみならず,しっかりとした聴き取り調査が必要です。

それがちゃんとできないなら,専門家失格,おやめになった方がよいでしょう,
少なくとも余計なことは。



ところが,高等裁判所は何故か,かばって曰く
「4度も少年に面会したのだから,調査票に問題はない」

問題なのは,回数ではなく,中身だと思う。
(弁護士はそれこそ,5回も6回も面会している。
まして,先の中学校の先生は2年間で何日会っていただろう。
何百回も話をしたかもしれない。
多角的調査を怠った調査に信憑性があるものか。)

                    -byフローラ法律・岡崎 from 2013.3.24-

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