372 部長裁判官が電話で「参ります。」の意味(司法の独立)

日本の裁判所は,裁判官の独立はもちろん!,保たれています(憲法76条)。
当然です。

しかし同時に,裁判官がたった一人きりで,モンモンと悩んだ挙げ句,
国民が「どっひゃあ,やってもうたぁ」と言うような,
とてつもない常識外れの判決を下したりしないように?,
裁判官のいわばグループ化・チーム化を図っています(3人から5人)。
(最高裁だけは,各人1人一部屋だと聞いています。)

困ったときに,相談できるように側に人を配置するわけです。
大抵裁判官3人の3つの机も固めるようにして密着させます。向かい合って座るのです。

    しかし,誤解しないで欲しいのは,
    アドバイスする裁判官は,聞かれたら答えるだけで,
    困っている様子だから,手をさしのべるということはまずありません。
    聞かれなければ,仮にその時どんなに暇でも,決して助言等はしません。

    裁判所には,
    「他の裁判体の仕事は見ない・見えない。他の裁判官の机の上は触れない・見ない」
    との暗黙の掟があります。
    ・・・・これぞ,裁判の独立です!

    なお,そこは書記官さんたちの世界とは少し違います。
    書記官の場合は,むしろ上司が介入するとか,仲間同士で積極的に助け合う向きがあります。



話を戻すと,裁判官の場合,同じ部屋に,
①部の部長裁判官(20年から30年くらいの経験),
②右陪席裁判官(6年から20年くらいの経験)と
③左陪席裁判官(1年目から5年目の経験者)
が配属になるわけ(全部で3人から5人)。
(なお,高等裁判所は,上記経験にそれぞれ10年程度を足したくらいになる。)

それは,合議体の判決をする場合には,合議するのに適しているといえます。

    もっとも,他国では,合議判決をする必要があるとしても,各裁判官の部屋は別々だと聞きます。

    また,準司法機関とされている検察官は,日本でも,捜査部は一人各部屋与えられているようです(ただし,公判部は大部屋方式)。



そんな部屋での日常的な風景?です。

部長裁判官に何やら電話が掛かってきた。その後僅かばかりの会話等の後
「では,参ります。」
と言って,電話を切って,部屋を出て行くことがあります。

その時,同じ部屋の若手の裁判官には,実は,誰からの電話かが分かるのです。

と申しますのは,「参ります。」と言っている以上
その電話の主は,その部長よりも,格が上であるはずです。

そして,その部長が,裁判部裁判官の中で上席裁判官であれば,その上は所長裁判官しかおりませんので,所長からの電話だとわかります。

    仮に,その部長と所長の間に先輩格の裁判官がいるとしても,裁判官同士は呼びつけたりしないのが普通です。
    部長裁判官が多くいる大庁でも,部長同士は同列同格的で,上下関係はないので,呼びつけることはまずありません。
    私生活等における個人的な師弟関係?等による例外がないとはいえないかもしれませんが。

結局,「参ります。」の電話の相手は所長である可能性が極めて高い,とこうなります。


このように,裁判所は,所長とそれ以外に別れるのです。
所長裁判官は,司法行政の担い手,その余の裁判官は全員裁判の実務担当者です。

司法行政上の関係になりますので,俗っぽく言えば,上下関係とみられなくもないのかもしれません。

    なお,部長職は,部総括辞令というものを,毎年最高裁から戴く形式を取っています。
    もし,ある年に問題等を起こして,翌年部総括辞令を戴けないと,部長職を降りなければなりません(降格人事)。

    所長からの電話だと,自然に「参ります。」という言葉が口を突いて出るのかも。

                    -byフローラ法律・岡崎 from 2013.3.24-

カテゴリー:The Rule of Law司法制度

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中