289 給与差押えや破産では解雇できないとはいうものの

労働法は,労働者の味方。
仮に,第三者から,ある会社の労働者に関し,給与の差押えがあったり,
従業員が自己破産申立てをしても,そのことを理由に解雇はできません。

    なお,ただし,破産等が社員の身分の喪失事由になっている場合は別です。
    保険会社社員とか,お金に関わる仕事をする会社の従業員はそういう場合があります。

    また,会社の従業員ではないにせよ,税理士や公認会計士等,破産宣告(破産手続開始決定)が資格の喪失事由になっている場合は勿論です。

それは,法理論上確立しています。


ただ,実際はどうでしょう。
給与差押え等により解雇話が持ち上がり,程なく解雇になった従業員はやはりお目にかかります。
組合がないとか,強い組合がない場合だけかもしれませんが。

どうしてでしょうか。


1つには,給与差押えや自己破産申立てを理由する解雇はできませんが,その理由を外して,他の業務上の理由を付ければ解雇は可能だからです。

    おそらくお金のことがきちんとできない人は,仕事面で何らかの難癖を付けることは可能な場合もそれなりにあるからだと思います。

もう1つには,他の従業員との関係調整の難しさもあると思います。

    他の従業員とは競争関係に立ちますから,
    給与差押え等を受けた人は,それがない他の従業員の手前,何かと扱いにくいのだと思います。
    少なくとも厚遇はしにくい。またモラルや士気低下等のおそれもあるかもしれない。

    雇う方としては,良くも悪くも従業員を公平に扱う必要があるから,そういう従業員は他の従業員の手前扱いにくいことは否めないと思います。



ところで,差押えは,別名本差押えともいい,判決等が確定後のものですが,
判決等の前に,先行して仮の処分を求める方法が裁判にはあります。
相手方の財産や給与等の仮差押えです。

仮差押えの場合,判決等に先立つ仮のものですので,差押えられる側により損害の危険の少ないものから順番づけて仮差押えしなければなりません。
しかも,相手方の損害の可能性を念慮してより高額の担保金を積む必要があります。

    給与の仮差押えは,他の仮差押え,例えば不動産等の仮差押えが奏功しない場合でないとできませんし,かつ担保金も,結構大きな金額を要求されます。

    それは,給与仮差押えによる本人へのリスクが高いからです。

このように,給与の(仮)差押えはやはり実際には危険視されているのです。
「理論上給与の本差押えがあったからと言って解雇はできない」では実際は済まないのです。


差押え等を理由に解雇した疑いがあるときは,
解雇後に会社と争うことはできるでしょうが,やはり本来給与差押え等がないのが一番ですよね。

                    -byフローラ法律・岡崎 from 2013.3.24-

カテゴリー:破産再生労働

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