212 弁護士増員の目的と証拠アクセスの保障

小泉総理肝いりの司法制度改革で,
司法試験が改められ,合格者が増員されました。
そして合格者数を増やすのは,とりもなおさず,弁護士を増やすことです。
裁判官・検察官はほとんど増えません。

あれほど鳴り物入りで,弁護士を増やせ,足りないの大合唱だっだのに,
今は,弁護士会という利害集団だけでなく,
当の政府までも,大幅に下方修正する始末です。


一体何が問題だったのでしょうか。

表面的にいうと,
日本は裁判沙汰になるような紛争が依然として少なく,弁護士が食えない状況に立ち入ったこと。


私は,そこが問題の核心ではないと思います。

そもそも本来,なぜ弁護士を増やそうとしたのでしょうか。

それは,所謂2割司法の打破です。
弁護士や裁判所を避けた,別のやり方や
別の人,場合によっては危ない人を介して紛争解決をする傾向が日本では多分にあった。
それでは,法の支配が貫徹できない。


そこで,まずは弁護士を増やして,日本の津々浦々に弁護士を常備,
つまり国民全体に届くように頭数を確保・配置する。
そうすることで,今まで他の人種によって扱われてきた紛争を,正しく法的紛争の処理へと促そうということです。

あくまで,法の支配の貫徹が目的です。
それが,司法改革の核心だったはず。



ところが,いくら法の支配を貫徹しようにも,
そしてどんなに弁護士や依頼者が張り切っても,
証拠の独占等があって,その証拠にアクセスできないのであれば,
裁判には勝てません。

    裁判所が頼んでも出さないという場合も同じです。

早い話,
勝つ見込みがなければ,弁護士にわざわざ依頼しません。
依頼料が安くても,弁護士が立派な方でも,もはや依頼しません。
法テラスも訴訟の費用を立替え・支援はしません。
そうなれば,やはり,国民は法律以外の実力による解決を求めるかもしれません。


今は,行政のお役所も民間も,個人情報保護を盾に,ほとんど情報を出しません。
裁判所からの正式依頼があってもです。

裁判所は,証拠なくしては,正義を見つけることはできません。

そんな日本国の国法体系の中で,
弁護士や裁判所には,証拠にアクセスできないようにしておいて,法の支配の実現は難しいです。
正義の実現も難しいです。
弁護士の数の問題ではありません。

    弁護士が増えさえすれば,弁護士や裁判所を通した紛争解決を国民が必ず選択するのではありません。


【警察との比較】
警察がなぜ国民から信頼され,正義の味方なのか。
それは,強制捜査権限を持ち,証拠に直にアクセスできるから。
それで悪を暴き,正義を守る。だから信頼がある。

丸腰の弁護士を数をとにかく増やすだけ。
国の岩盤規制は依然として強固にそびえ立つ。
それで,少なかった時の状況以上に,
弁護士が増えれば,増えた分だけ,比例してより法の支配が貫徹できるかといえば,それは甚だ疑わしいです。

むしろ少なかった従前とさほど変わらない可能性が高いと思います。


【参考】
213,215,216の投稿

                    -byフローラ法律・岡崎 from 2013.3.24-

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