15 忘れられる権利(個人情報削除請求権)

『インターネット時代の法律実務Q&A』(日本加除出版)によれば,
「近時,EUにおいて忘れられる権利の立法勤向が注目を集めています。
・・・・本人の申立てにより,データ管理者に対して申立てにかかる個人デ一タの削除を求め得る権利を創設するものです。」
「例えば,過去の前科情報のように報道の利益が時間の経過とともに逓減する場合には,実名報道記事をネット上に掲載し続けることが不法行為を構成する余地がありますが,その削除を実現するには時間と費用を要する場合があります。」
「特に立法案で言及されている子どもの頃に提供した個人データについては,削除の必要性が高い場合もあ(る)。」
とあります。

本当にそのとおりです。EUは,目の付け所が優れていますね。

【命名すると,威力を発揮する】
憲法13条は,個人の尊厳や幸福追求権,つまり自己規律権を保障,
これには人格権に基づく削除(妨害排除)請求権が含まれるはず。
(「公共の福祉」による他の人権との調整の問題は残る。)

他人から,常に自分の過去の情報にアクセス・使用されるのなら,自尊心や自分の人格の自己規律はない。
「自分であって自分ではない」状態は,実に悲しい。

ところが,このようにちゃんと命名すると,多くの国民がその大切さを明確に認識します。
似た例で,セクハラは,事実としては,太古の昔からあったでしょう。
しかし近年その言葉が新設されたので,その現実と問題点を多くの人が認識したのです。

【個人情報保護法の本来の精神がここに】
最近の業者の中には,「個人情報保護法を遵守するから」として,
むやみやたらに必要でない個人情報を収集する向きがあります。
(映画チケットの現金販売。全国上映期間後も,いつまで保持するか明示されない。)

個人情報保護法以前に,本来不要な情報は提供を求めるべきでない。
仮に仕方なく収集しても目的を達すれば直ちに削除すべき。

だらしない運用をする日本は, 「忘れられる権利」は鍵になる。
「用が済んから消して」といえないと何時までも取っておかれる。
結局流出事故が起こったり,本来の契約目的外の使われ方をする。

「忘れられる権利」は,保護法本来の精神を思い出させてくれる。
「規定を守ってれれば何を提供させても良いのだ」ではない。
「規定を守っていれば何時までも持っていて良いのだ」ではない。

削除に応じなければならないとなれば収集の際より慎重になるはず。

ネット時代における今日的要請を含む,本当に重要なコンセプトです。
まさに,古くて新しい権利・考え方です。

追記:
2014/11/27 ロイター記事「忘れられる権利」全世界に適用を、欧州当局がガイドライン策定

                    -byフローラ法律・岡崎 from 2013.3.24-

カテゴリー:情報問題

1件の返信 »

  1. EUらしい画期的な権利ですね。
    日本にも導入される場合、帳簿を7年保持しなければならない税法が邪魔をする気がします…。

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